BDのグループ会社で、サージェリー(外科領域)の医療機器を手がけるメディコン(本社:大阪市)は、6月1日の「鼠径ヘルニアの日」にあわせ、患者調査の結果を公表した。
調査では、足の付け根に、同疾患の大きなサインである小さなふくらみの症状があっても、約7割(69.9%)が医療機関を受診していない実態が判明。「鼠径ヘルニア(脱腸)」の病名やリスクを正しく理解している人は35.7%に留まっていることが明らかになった。
鼠径ヘルニア(脱腸)は、国内で年間約15万件の手術が行われるなど、決して珍しくない疾患だ。自然に治癒することはなく、症状が進行すると緊急対応が必要になるケースもある。症状としては足の付け根に小さなふくらみが現れるまでに留まる場合もあるが、そのささいな変化が、実は体からの重要なサインである可能性がある。
一方で、症状やリスク、適切な受診先について十分に理解されているとは言えず、身近でありながら「知られていない」疾患でもある。
また、40~70代の男女を対象にした同調査の結果、足の付け根に「ふくらみ」や「飛び出したり引っ込んだりする」といった症状があるにもかかわらず、医療機関を受診していない人が約7割(69.9%)に上ることが明らかになった。
また、受診先として、本来の専門である外科・消化器外科ではなく、「内科」を想定する人が最多であった。

疾患は身近でも、正しく知られていない実態認知度35.7%
同調査では、症状がありながら医療機関を受診していない人を対象に、疾患認知度について調査した。その結果、「鼠径ヘルニア(脱腸)という病名を知っている」と回答した人は27.1%、「病名を知っており、症状の悪化まで理解している」は8.6%にとどまり、約6割超が「知らなかった」と回答した。正しい疾患理解が十分に浸透していない実態が浮き彫りになった。(図1)

「痛くないから」「生活に支障がないから」
受診に踏み切れない理由が浮き彫りに
受診していない理由として多く挙げられたのは、「痛みがない・気にならない(60.6%)」「日常生活や仕事に支障がない(41.7%)」といった回答であった。(図2)

また、特に60~70代では、「どの診療科・医療機関に行けばよいかわからない」という声が、40~50代に比べて高い傾向が見られた。症状があった場合に想定される受診科は、「内科(39.8%)」、「外科・消化器外科(29.1%)」、「泌尿器科(17.9%)」となっており、未受診者ほど内科を想定する傾向が強く、本来の専門である外科・消化器外科につながりにくい実態が明らかになっている。(図3)

受診すると治療につながる可能性
約7割が「手術を実施・予定」
一方、医療機関を受診し、鼠径ヘルニアと診断された人のうち、55.3%が「手術をした」、14.0%が「手術をする予定」と回答しており、約7割が治療として手術に進んでいることがわかった。
また、23.4%は「経過観察」、7.3%は「手術を勧められたが検討中、もしくは手術はしない予定」と回答しており、受診後の対応は一様ではないことも示されている。(図4)

手術を決断した理由
「自然に治らないと理解した」ことが最大の要因
手術を受けることにした理由としては、「手術をしないと治らないから(76.3%)」が突出して高く、次いで「膨らみが気になるから(33.3%)」「違和感・不快感が気になるから(31.6%)」と続いた。
一方、「医師に勧められたから」は全体で19.3%であった。この割合は年代別にみると、40~50代では1割未満、60~70代では2割台という違いが見られた。 “自然に治る病気ではない”という理解が、行動を後押ししている可能性が示唆される。(図5)

同調査においては、「どこに行けばよいかわからない」という不安が、受診のハードルになっている実態も見えてきた。疾患啓発サイト「そけいヘルニアノート」(https://user.pr-automation.jp/redirect.php?body_link_id=546379&media_id=396147&client_flg=1)では、疾患の可能性や危険性に気づき、正しい判断をするための情報や、住まいの地域から外科・消化器外科の医療機関を探せる検索機能を提供している。まずは身近な医療機関への相談からでも問題はない。
◆三澤健之日本ヘルニア学会理事(帝京大学医学部外科学講座客員教授、東京慈恵会医科大学外科学講座客員教授)のコメント
今回の調査では、症状があっても受診に一歩踏み出せない人が少なくない一方で、「自然に治らない病気である」との理解が、治療を決断する大きなきっかけになっていることが示された。
鼠径ヘルニアは自然に治るケースはなく、多くの場合、時間の経過とともに症状が進行する。症状が進行すると、緊急手術が必要となるなど、命に関わる可能性もある。痛みがなくても、少しでも気になるふくらみや違和感がある場合には、一人で悩まず、先延ばしにせず、医師に相談することが大切だ。正しい情報のもとで早期に受診することで、適切な診断と治療につながり、安心して日常生活を送ることが可能になる。
