アッヴィは7日、欧州血液学会(EHA 2026)において新たなデータを発表することを明らかにした。多発性骨髄腫(MM)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、急性骨髄性白血病(AML)、アミロイドーシス(AL)など、複数の血液がんを対象とした研究プログラムから得られた臨床的進展を紹介するもの。
アッヴィの血液がんポートフォリオおよびパイプラインに関する注目データには、治験中の化合物エテンタミグ(ABBV-383)に加え、承認済み治療薬であるエプコリタマブ、ベネトクラクス、pivekimab sunirine-pvzyが含まれる。エプコリタマブに関する主な口頭発表は次の通り。
◆再発/難治性の濾胞性リンパ腫(R/R FL)におけるレナリドミドおよびリツキシマブ併用エプコリタマブの治療効果
・R/R FL患者(243名)を対象に、エプコリタマブの固定期間投与をリツキシマブおよびレナリドミドと併用(E+R2療法)したP3相EPCORE FL-1試験(NCT05409066)のサブグループ解析で、R2療法との比較において、E+R2療法の有効性および忍容性が、臨床的に重要なサブグループ(高リスクの疾患特性をもつ患者および低リスクの疾患特性をもつ患者など)全体に認められるかを評価した。
・濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)スコアに基づくサブグループ間で、E+R2療法の全奏効率(ORR)は、R2療法よりも高値でした(FLIPI 0~2:96.5% vs 84.8%、FLIPI 3~5:93.0% vs 72.6%)。これと同様の傾向が、初回の治療開始日から2年以内に病勢進行(POD24)を認めたサブグループの患者にみられた。1
・年齢によるサブグループでは、E+R2療法とR2療法のORRおよび完全奏効率(CRR)は、65歳以上では94.3% vs 80.2%および80.7% vs 44.3%、65歳未満では95.5% vs 78.4%および83.9% vs 54.0%であった。非ホジキンリンパ腫における5つの併存疾患によるスコア(NHL-5 co-morbidity index)に基づくサブグループにおけるE+R2療法とR2療法の無増悪生存期間(PFS)ハザード比(HR)[95% 信頼区間(CI)]は、低スコアのサブグループで0.27(0.17~0.42)、高または中等度スコアのサブグループで0.14(0.06~0.29)であった。
・いずれのサブグループでも、E+R2療法の安全性プロファイルは試験集団全体と一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
◆再発/難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(R/R LBCL)における全身療法後のエプコリタマブの有効性データ
・EPCORE DLBCL-1試験(EudraCT番号2020-003016-27)は、R/R LBCL患者を対象に、CD3とCD20の二重特異性抗体であるエプコリタマブの単剤療法を評価するP3相無作為化試験である。
同試験では、治験責任医師が選択した免疫化学療法(CIT)(リツキシマブ、ゲムシタビンおよびオキサリプラチンの併用療法またはベンダムスチンとリツキシマブの併用療法のいずれか)と比べて、エプコリタマブ単剤療法はPFSを統計学的有意に改善した[HR 0.74(95% CI:0.60~0.92)、P=0.0059、24カ月時無増悪生存率:30% vs 13%]。
全生存期間(OS)については、統計学的に有意な改善は示されなかった[HR:0.96(95% CI:0.77~1.20)]。事前の規定基準に基づくOS上の不利益は認められなかった。
・CRRは、エプコリタマブ単剤療法群では38%、CIT群では26%(名目上P値=0.0032)であった。奏効期間(DOR)の中央値は37ヵ月 vs 6ヵ月[完全奏効期間(DOCR)は未達 vs 11カ月]、次の治療開始までの期間(TTNT)は7ヵ月 vs 4カ月(P値<0.0001)であった。
・エプコリタマブ単剤療法群で、グレード3~4の感染症(30% vs 12%)および全グレードのCOVID-19(36% vs 11%)がCIT群より高い割合で報告された。グレード5の試験治療下で発現した有害事象(TEAE)が認められた患者の割合は17% vs 6%(曝露量調整:100人月 あたり1.5件vs 1.8件)で、主にグレード5のCOVID-19によるものであった(9% vs 2%)。
なお、米国以外では治験実施計画書およびSAPを改訂し、OSとPFSの2つの主要評価項目を設定している。ベネトクラクス、エテンタミグ、pivekimab sunirine-pvzyに関する次にい研究も、口頭およびポスター発表として共有される。
◆CLL患者に対するベネトクラクスをベースとする療法の遺伝的バイオマーカーに基づく有効性予測
・GAIA/CLL13試験(NCT02950051)の結果。同試験では、del(17p)欠失およびTP53変異がなく、全身状態が良好で、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象に、化学免疫療法(フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブの併用またはベンダムスチンとリツキシマブの併用)に代わる化学療法なしの治療法として、ベネトクラクスの固定期間投与を用いた併用療法(リツキシマブとの併用、オビヌツズマブとの併用、オビヌツズマブ+イブルチニブとの併用)を検討した。
・del(17p)欠失およびTP53変異がない未治療CLL患者に対する、ベネトクラクスとリツキシマブの併用療法およびベネトクラクスとオビヌツズマブ+イブルチニブの併用療法は、開発中の併用療法であり、欧州では承認されていない。
◆未治療CLL患者でのベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法の有効性及び安全性データ
・CLL14試験(NCT02242942)の結果。同試験は、併存疾患を有する未治療CLL患者を対象に、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法の有効性および安全性を、オビヌツズマブとクロラムブシルの併用療法と比較検討するP3相非盲検試験である。
◆急性骨髄性白血病(AML)に対するベネトクラクスをベースとする療法の実臨床での使用実態
・REVIVE試験(NCT03987958)の結果。 同試験は、AMLと新規に診断され、強力化学療法の適応とならない患者を対象に、抗菌薬の予防投与、寛解後のG-CSF投与および治療開始状況が、ベネトクラクスと低メチル化剤(HMA)の併用療法の安全性および有効性アウトカムに及ぼす影響を調査した前向き観察研究である。
◆B細胞成熟抗原(BCMA)標的療法による前治療歴を有する再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者を対象としたエテンタミグの検討
・MONVISO試験(NCT05650632)のB群の結果。同試験では、トリプルクラス薬剤による治療およびBCMA療法を含む、2次治療以降の前治療歴を有するRRMM患者を対象にエテンタミグの固定用量を検討している。同P1b試験は、用量最適化および安全性を評価している。
・エテンタミグは開発中の医薬品であり、欧州では未承認。
◆R/R軽鎖アミロイドーシス患者を対象とした、エテンタミグ単剤療法の長期的な安全性および有効性データ
・M24-209試験(NCT06158854)の最新結果。同試験では、BCMA標的療法歴のない再発/難治性免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス患者を対象にエテンタミグ単剤療法を検討している。同P1/2相非盲検試験では、用量漸増での安全性および有効性を評価している。
・エテンタミグは開発中の医薬品であり、欧州では承認されていない。
◆ベースライン時に皮膚病変が認められた芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者を対象としたCADENZA試験でのpivekimab sunirine-pvzyの有効性データ
・CADENZA試験(NCT03386513)の事後解析。この解析では、様々な程度の皮膚病変を有するBPDCN患者を対象に、pivekimab sunirine-pvzyによる1次治療を検討した。同P1/2相非盲検試験では、全奏効率、全生存期間および幹細胞移植に移行可能な症例の割合を検討している。
・Pivekimab sunirine-pvzyは開発中の医薬品であり、欧州では承認されていない。
エテンタミグ(ABBV-383)は開発中の医薬品であり、世界のいずれの規制当局からも承認されていない。この治験薬の安全性および有効性については、現在進行中の臨床試験において評価が行われている。Pivekimab sunirineは欧州では承認されていない。
エプコリタマブおよびベネトクラクスは既承認の医薬品で、適応追加のために臨床試験で評価が行われている。未承認の追加適応症における安全性および有効性は確立されていない。
エプコリタマブは、アッヴィとジェンマブ社とのがん領域における提携関係の下、共同開発を行っている。両社は米国と日本においては、共同で商業化を担い、グローバルにおけるさらなる商業化についてはアッヴィが担当する。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っている。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売している。
◆Daejin Abidoyeアッヴィoncology, solid tumor, hematology, therapeutic area head、 vice president(MD)のコメント
当社がEHAで発表する説得力のあるデータは、当社の揺るぎないポートフォリオおよびパイプライン、ならびに血液がんの治療と理解を深めるための継続的な取組みを反映するものである。この研究により、我々は、血液がんの標準治療の水準を引き上げ、差し迫った課題の解決に寄与し得る、革新的なソリューションの創出に引き続き取り組んでいく。

