JCRファーマは26日、発明協会が主催する令和8年度全国発明表彰において「バイオ医薬品を脳に届ける技術の発明」が「文部科学大臣賞」を受賞したと発表した。
全国発明表彰は、多大な功績を上げた発明・考案・意匠、あるいはその優秀性により今後大きな功績をあげることが期待される発明等を表彰するもの。日本の科学技術の向上および産業発展への寄与を目的として、発明協会が皇室からの御下賜金を受けて毎年開催している。
今回受賞した「文部科学大臣賞」は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を上げている発明などを対象とする第1表彰区分において授与される特別賞だ。
今回の受賞は、バイオ医薬品を脳に届けるために用いるドラッグデリバリー技術の発明が高く評価された。脳は血液脳関門というバリア機構によって保護され、薬物の送達が制限されるため、脳への薬物送達技術の開発は中枢神経系治療における長年の重要課題とされてきた。
同技術(J-Brain Cargo技術, 特許 6797148 号ほか)は、その課題を解決するための重要なブレークスルーであり、日本ではすでに希少疾病であるライソゾーム病治療薬として実用化されている。
現在はグローバルでの開発も進行しており、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患をはじめ、神経炎症性疾患や神経腫瘍などへの幅広い応用が期待されている。
JCRファーマは、今後も有効な治療法のない患者とその家族の期待に応えるため、研究開発を推進し、新たな可能性を切り拓いていく。今回の受賞概要は、次の通り。
◆受賞者(同表彰受賞時点の役職)
・JCRファーマ代表取締役社長 チーフサイエンティフィックオフィサー 薗田 啓之
・同社サイエンティフィックエキスパートフェロー 先進バイオ医薬研究所長 髙橋 健一
◆受賞名称
バイオ医薬品を脳に届ける技術の発明
◆受賞発明の概要
同発明は、バイオ医薬品を脳に効率よく届けるために用いるドラッグデリバリー技術であり、具体的にはトランスフェリン受容体(TfR)に対する新規な抗体、およびこれを利用した医薬品に関するものである。
ヒトの脳には血液脳関門と呼ばれる防御機構が備わっているため、バイオ医薬品のように分子の大きい薬物はこの関門を通過できず、脳への治療薬デリバリーの大きな課題となっている。同発明であるTfRに対する抗体は、鉄分を取り込むために脳が元来備えている機構を利用し、鉄分と一緒に脳へと取り込まれることができ、かつ受容体本来の機能を阻害しないように設計されている。
同技術を適用した医薬品が 2021 年に本邦で製造販売承認を取得し、これは、血液脳関門通過技術の実用化において世界的にも先駆的な事例となった。
同発明は、核酸、脂質ナノ粒子、遺伝子治療など多様なモダリティへと応用可能であり、新規治療薬の創出という社会実装を推進するため、国内外のさまざまなパートナーとの連携が進んでいる。


