精神科医が解説する新型コロナ禍でも“5月病”にならないための対策  ユーグレナ

コロナ禍2年目で連休明けの”5月病”リスクが高まる可能性も

 ユーグレナは20日、精神科医の芦澤裕子氏(市川メンタルクリニック院長)が解説する「“5月病”にならないための対策」を公表した。
新年度が始まり、5月の連休を経た5月から6月にかけての時期は、年間でも心身バランスを崩す人が最も多い傾向にある。新しい環境や人間関係に馴染めず、いわゆる“5月病”の症状に陥ってしまうケースも多い。医学的には、適応障害、うつ病、パーソナリティー障害、発達障害、パニック障害、不眠症といった病気など、人によって異なる症状が出る。
 特に、コロナ禍が2年目に突入し、以前よりも心身バランスを崩しやすい環境下では、5月病傾向の人が増える可能性もある。
 勤務形態が変化し続けていたり、気軽にコミュニケーションが取れない事、リモートワークでは自閉的な生活となってしまう事などから5月病を発症させるリスクが通常よりも高くなると想定される。
 そこで、今回、ユーグレナは、芹沢氏が解説する「“5月病”にならないための対策」を公表した。解説内容の詳細は、次の通り。

芹沢氏

5月病リスクが高いタイプは?

 気分転換や睡眠をとることなどで解消出来ず数日以上悩み続ける傾向がある人、周囲の人は気にならない程度の不快感を増幅させ精神的に疲弊してしまう傾向のある人は要注意である。
 完璧主義な傾向がある人も、ちょっとした躓きが自分の中で非常に大きな精神的ストレスになってしまい気を患ってしまうことが自律神経を乱し、体調不良につながることもある。
 男性よりは女性の方が心身のバランスを崩しやすいと言われるが、男性も社会生活において新年度が始まり職場や人間関係が変化する中でなかなか適応できずに悩まれるケースが散在される。

心身バランスの鍵を握るのは「セロトニン」

 「セロトニン」とは、“しあわせホルモン”と呼ばれる脳内ホルモンで、神経を興奮させる「ノルアドレナリン」や快感に繋がる「ドーパミン」と並んで三大神経伝達物質の1つである。
 緊張やストレスに対抗する際に、脳からセロトニンが分泌され、他のノルアドレナリンやドーパミンの働きを制御し、自律神経のバランスを整えようとする。セロトニンの分泌量が減ったり、働きが制限されると、心身のバランスを取りづらくなってしまう。
 セロトニンが正常に分泌される生活習慣を心掛けることが、心身バランスを整えることに繋がる。
 また、それぞれの神経伝達物質がお互いにどう作用するのかの全ては解明されきれていないが、バランスも重要だと言われている。セロトニンのみならず、それぞれのホルモンがきちんと分泌され、作用していることも必要である。

セロトニン分泌の鍵は、“睡眠の質”

 セロトニンの分泌には、質の高い睡眠を十分確保できているかどうかが非常に重要である。慢性的な睡眠不足や眠りの浅さが心身疲労に繋がる。理想の睡眠時間については、個人差がある。必要な睡眠時間は人によって異なり、睡眠時間が短くても朝すっきりと目が醒め、活動的に過ごせるならば問題はない。
 逆に長時間眠っていても、思考力の低下や注意力の衰え、不安やイライラ、頭痛や肩こりを感じてしまう場合、睡眠の質が下がっている可能性がある。

睡眠の質向上では起床時刻の一定が重要

 人間の概日リズム(生体リズム)は約25時間と、1日の24時間より1時間ほど長い。この差を修正するには、朝の起床時刻を一定にし、朝、光を目の中に入れる事で24時間周期にリセットすることができる。
 人間の1つ1つの細胞に体内時計があるといわれており、24時間周期にセットすることで体内時計が正常に働き、それぞれの機能やホルモンなどがある一定の時刻に優位に活動し、全身が協調性を保ち、心身ともに健康でいられる。

運動するべきタイミングと強度

 夜に運動をすると交感神経が優位になってしまい寝付きが悪くなってしまうのでNGである。可能であれば、午前中に屋外で15分以上、散歩程度の強度の運動をし、日光を浴びるようにしよう。
 午前中に光を一定時間浴びることで、体内時計が整い、生活リズムが安定してくる。また、セロトニンの正常な分泌にも役立つ
 睡眠障害を起こしている人向けにも、「光治療」といって、太陽光を模した光を決まった時間あびることで生活リズムを取り戻す治療がある。
 お薦めの運動強度としては、ハード過ぎず、ほんのり汗をかく程度の強度・時間の運動が好ましい。

就寝時に深部体温がちょうど下がるタイミングでぬるめの半身浴を

 身体の内部の温度(深部体温)が下がる時に副交感神経が優位になり、入眠しやすくなる。眠るタイミングで深部体温の低下を下げるには、寒い季節は眠る30分前くらい、暖かい季節は1時間前までに、湯舟で38度~40度のぬるめの半身浴で入浴を行う。20分ほどゆったり浸かって、身体の内部まで温めよう。

ブルーライトは寝る1時間前から見ないように

 眠る1時間前からはパソコンやスマートフォンの液晶画面は見ないようにしよう。

眠る空間づくりでの留意点

理想の枕の位置

 照明は、真っ暗ではなく、ちょっとカーテンから光が透けるくらいの暗さが理想的である。シーツや枕カバーなどの寝具は、目で見て安らぐ薄い色の、ブルー系かグリーン系の綿やシルクなどの天然素材の使用が好ましい。吸汗性があまり高くないシーツだと、かいた汗が吸収されず、それが不快感に繋がり睡眠の質を下げてしまう。

枕は“寝返りのうちやすさ”が選択基準

 寝返りは、質の高い睡眠には不可欠である。同じ姿勢のまま固定されてしまうと血流が悪くなってしまうが、寝返りを打つことで身体の血行が促進される。また、寝具の中の温度・湿度を調節するというメリットもある。
 理想の枕は、横になったときにおでこ、鼻、鎖骨を結ぶラインが一直線になる高さである。多くの人が想像する枕より平たく低い枕のほうが寝返りを妨がない。

理想の枕位置

 アロマを香らせるのも有効で、ラベンダー、カモミール、ベルガモット、スイートマジョラム、ローズゼラニウムなど、鎮静効果のある香りがおすすめだ。ただし、自分がいい香り、と快く思う香りを選ぼう。
 アロマディフューザーやアロマストーンで使用したり、ティッシュに1、2滴を垂らしてそれを枕のそばに置くのでもOK。合成成分が含まれていると知らずにストレスを与える可能性もあるので天然香料のものを使用する。

睡眠の質を上げてくれる食品は?

 睡眠の質改善に必要な栄養素は次に示す通りである。
・神経伝達物質を作るタンパク質
・セロトニンの合成に不可欠なビタミンB6
・脳神経の正常な働きを助けてくれるビタミンB12
・セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の原料 トリプトファン
・ドーパミンを作るのに必須といわれる鉄
・ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせるGABA
・体の末端部分の血行量を増やして深部体温を冷やすグリシン

おかずで積極的に摂りたい肉、魚

 タンパク質が豊富な肉や魚は、良質な睡眠に欠かせない。ビタミンB6が豊富なのは、カツオ、マグロ、サケ、牛レバー、豚レバーなど。
 また牛、鶏のレバーにはビタミンB12が豊富。必須アミノ酸のトリプトファンは豚肉、牛肉に豊富。鉄も、肉や魚には豊富に含まれる。鉄は、補給するだけで鬱病が改善したという女性の例も聞かれる重要な成分である。肉や魚には、グリシンも豊富だといわれている。

睡眠の質改善に役立つ栄養素のすべてを含むユーグレナ

ユーグレナ

 ユーグレナは、セロトニンの分泌を促進し、睡眠の質のを向上が期待できる近年注目の食品である。59種類もの栄養素を含み、その中にはビタミンB6、ビタミンB12、トリプトファン、鉄、GABA、グリシンなどすべてを含有している。
 ユーグレナ粉末500mg、1000mgおよびユーグレナ粉末の入っていないプラセボ粉末を12週間摂取した結果、主観的な睡眠への満足度の有意な向上が見られたという検証結果もある。ユーグレナは、一般販売されているドリンクや粉末加工品、サプリメントなどで摂取できる。

◆主食は発芽玄米がおすすめ

 発芽玄米には、気持ちを落ち着かせる「抗ストレス作用」があり、働きをするといわれるGABAが豊富である。

◆しじみ、あさりなどの貝類

しじみ、あさりなどの貝類には、ビタミンB12が豊富に含まれている。

◆エビ、ウニなど

 エビ、ウニなどは、グリシンが豊富に含まれる。深部体温を冷やしてくれるグリシン豊富な食材は、寝る前の夜の食事に摂るのがお薦めだ。

◆豆腐・納豆

豆腐・納豆は、トリプトファンが豊富である。

◆カフェインは夜眠る5時間前から摂取抑制

 カフェインは、夜眠る時間の5時間前から摂取するのを控えよう。カフェインは、神経を覚醒させるので、入眠しづらくなる作用がある。就寝時間の5時間前からは摂取するのを控えよう。

夕食のメニューは入眠を左右する…おすすめできないものは?

 夜は、脂っぽいものをなるべく摂らない、ないしは控えるようにしよう。胃もたれが精神的なストレスにつながり、睡眠の質を下げてしまう恐れがある。また、食べ過ぎでの胃もたれも同様である。
 食事、特に夕食は、腹八分目を心掛け、理想は就寝の3時間前、難しい場合は、2時間前には食べ終えるようにしよう。
 また、食べ過ぎて苦しい、胃がもたれるという感覚もストレスになり入眠を妨げるため、食事は腹八分目を睡眠の質のためにも意識しよう。

お酒はNG

 お酒は睡眠の質を下げ、睡眠が浅くなることがわかっている。また、アルコールの利尿作用で就寝中に目が醒めてしまうというデメリットもあるため、睡眠の質を改善したい場合は避けるようにする。

寝付けない時に…入眠しやすくするテクニック

 眠る前も交感神経が優位なままだとなかなか寝付けない。副交感を優位にして入眠を促してくれるテクニックを紹介したい。

■ 自律神経を整える耳マッサージ

 耳まわりを刺激することで副交感神経が優位になることを助けてくれる。まず、耳全体を上下から指で挟んでから、耳の真ん中の位置をつまんで外側に引っ張る。
 その後、耳の上側をつまんで上に引っ張り、同じように耳たぶをはさんで下に引っ張る。

安眠のためのツボ

■ 安眠のツボを刺激する

 ツボ押しの基本は、やや強めの圧で3秒押して3秒離す、を10~15回、気持ちいいと感じる適度な回数を繰り返す。

安眠のためのツボの位置

 耳の後ろの大きな骨の終点から指1本下にある「安眠」は、副交感神経を優位にするツボである。眉と眉の間のへこんだ部分にある「印堂」は、気持ちを落ち着かせてくれるツボ。頭の天辺の押すと少し凹むように感じる場所にある「百会(ひゃくえ)」も、頭を手で覆うようにして刺激することでリラックスできる
 また、足の踵の真ん中にある「失眠」も代表的な安眠のツボである。

精神の安定のために大切な事項

 精神の安定を保つ対策としては、“信頼する人に話を聞いてもらう”のがダントツでお薦めである。孤独感を感じると抑うつ症状が悪化しやすいと言われている。他にも、人との交流が苦手という人は、趣味に没頭する、寝る、大声を出すなどもストレス発散になる。
 やはり、生活リズムを一定に保ち、健康的な生活を送ること(3食を一定の時間に食べ、起床時刻を一定にし、自分に合った十分な睡眠時間を取る、継続できる運動を規則的に続ける)に勝るものはないと心得て頂きたい。

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