世界糖尿病デーにちなみ「血糖トレンド委員会」設立

 

 11月14日の世界糖尿病デーにあたり、西村理明氏(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授)を代表世話人とした『血糖トレンド委員会』が発足された。
 同委員会は、血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点で分かりやすく正確な情報発信を目的としたもの。
 国際糖尿病連合(IDF)によれば、現在、世界では4億2500万人が糖尿病に罹患し、今後も患者の急増が懸念されることから「糖尿病パンデミック」とも呼ばれる状態となっている。
 日本でも糖尿病有病者、および糖尿病予備群はともに約1000万人、合計約2,000万人にも上る。生活習慣病の医療費分析でも、糖尿病が医療費の第1位になるなど、糖尿病の予防とコントロールは国内外において社会的な課題となっている。
 こうした中、近年、血糖値の推移や変動といった「血糖トレンド」を把握できるようになり、今年6月に開催された第79回⽶国糖尿病学会学術集会(ADA2019)で、「血糖トレンド」の観点から規定した血糖管理の新たな目標が発表された。
 「血糖トレンド」は、血糖値を点(ある時点の測定値)ではなく波形の線(連続測定の値)で把握することで、血糖値スパイクなどリスクの高い急激な血糖変動の有無の評価が可能となる。
 また、「血糖トレンド」を知ることで、無自覚の低血糖や食後高血糖が存在するか否かを評価できるようになるので、患者自身が主体的に血糖コントロールを行う大きな手助けとなる。だが、「血糖トレンド」の概念はまだ新しく、糖尿病を治療中の患者や糖尿病予備群の人の間でも十分な理解は広まっていない。
 さらに、同委員会が行った「血糖トレンドに関する意識調査」においては、血糖値や血糖コントロールの意味についても、正しく理解されていない部分の存在が明らかになった。
 西村理明氏は、「多くの糖尿病患者さんおよび予備群の人に正しい知識を持って頂くことが、適切な血糖管理につながる」と明言。その上で、「当委員会は、医師だけでなく、患者さん代表をメンバーとして、血糖トレンドや血糖コントロールに関する正しい情報を、患者さんの視点で分かりやすく発信していく」と抱負を述べている。
 血糖トレンド委員会のウェブサイトは、https://kettotrend.com

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