大阪・十三での血漿分画製剤新製造施設建設で1000億円規模の投資 武田薬品

 武田薬品は23日、大阪・十三に血漿分画製剤の新製造施設を建設するため、1000億円規模の長期投資を行うと発表した。製造能力強化目的の武田薬品の投資では、これまでで国内最大となる。
 同投資の決定は、‟常に患者に寄り添う”同社の理念に沿ったもの。加えて、「血漿分画製剤事業など価値を創造する事業機会に対して規律をもって集中的な投資を行う」という同社の資本配分に関する基本方針の一つである「成長ドライバーへの投資」にも合致している。
 同投資を通じ、十三にある武田薬品の大阪工場敷地内に、血漿分画製剤製造の全工程を完備する世界水準の施設を新たに建設する。
 この新製造施設は、2030年頃の稼動を予定しており、類似の施設としては国内最大規模になる見込みである。武田薬品は、日本における血漿分画製剤の製造能力を約5倍に増強し、血漿分画製剤の市場が伸長している日本国内において持続的な供給を行いながら、グローバルな製造ネットワークにおける製造能力の拡大寄与も目指している。
 新製造施設は、最先端の自動化およびデジタル技術を実装し、血漿の分離、分画、精製、充填、包装、保管(倉庫)の一連の製造工程を完備した、グローバルでも最高の製造基準を有する施設として建設される。
 さらに、環境にやさしい設計を取り入れ、2035年までに自社の事業活動から排出される温室効果ガスをネットゼロにするという目標の達成に貢献する施設になることを目指す。
 現在、国内向けの血漿分画製剤を製造している同社の成田工場は、維持管理に必要な投資を行いながら、新工場稼働を見据えて引き続き製造を担う。
 武田薬品は、これまでLH-RHアゴニストであるリュープリン、高度な製造技術を要する細胞治療製品のアロフィセル、政府からの助成金を受けた新型インフルエンザワクチンおよび新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンなど、国内外の患者に革新的な医薬品を届けるため、日本での生産体制を強化する投資を継続的に行ってきた。
 また、同社の光工場に、エンタイビオを製造するための最新設備を建設しており、2023年後半に商用生産の開始を予定している。
 血漿分画製剤は、希少疾患や複雑な慢性疾患を含む様々な疾患の治療に使用されており、過去20年間で大幅に需要が増加している。日本においても、診断率の向上や早期治療等により今後さらなる需要拡大が見込まれており、同社は今後5年以内に、国内において新規適応症および新しい血漿分画製剤を含む最大5つの承認取得を目指す予定である。
 同時に、国内において血漿分画製剤を安定的に供給し、患者さんが継続して治療を受けられる体制づくりについても、規制当局と継続的に協議していく。
 なお、同投資による武田薬品の2023年3月期の連結業績に与える影響はない。

◆古田未来乃武田薬品ジャパン ファーマ ビジネス ユニット プレジデントのコメント
 当社は、日本において70年以上にわたり、患者さんや医療関係者からのニーズに応え、血漿分画製剤をお届けしてきた。今回の追加投資を通じて、高品質の血漿分画製剤をより多くの患者さんに持続的かつ安定的にお届けすることが可能になることを嬉しく思う。
 日本の患者さんの治療向上に確実に貢献できるよう、厚生労働省と協議を行っていく。

◆トーマス・ウォスニフスキー武田薬品グローバル マニュファクチャリング & サプライ オフィサーのコメント
 日本において投資を行えることを嬉しく思う。これは、血漿分画製剤事業そして当社の母国市場である日本に対するコミットメントの証である。これにより、当社のグローバルな製造ネットワークにおいて、日本はこれまで以上に重要な役割を担うとともに、強固なサプライチェーンの構築にさらなる貢献を果たすことになる。
 新しい製造施設では、年間200万リットル以上の血漿処理能力を有する。また、自動化やデジタルの力を最大限に活用し、代替治療のない疾患を含め血漿分画製剤を必要とする患者さんに、高品質な医薬品をお届けしていく。

◆ジャイルズ・プラットフォード武田薬品プラズマ デライブド セラピーズ ビジネスユニット プレジデントのコメント
 当社は、引き続きグローバルな血漿分画製剤事業の長期的かつ戦略的な成長への投資を重視していく。本投資を通じ、日本のみならず世界中で高まっている患者さんのニーズに、多様なポートフォリオで応えていけることを嬉しく思う。

タイトルとURLをコピーしました