COPD発症予測因子上位はFEV1/FVC、喫煙状況、アレルギー症状、咳、喫煙指標の順に  アストラゼネカと日立が共同研究結果発表

 アストラゼネカは24日、日立と 2019 年に提携した共同研究(Analysis of Risk factors To DEtect COPD : ARTDECO Study)の結果を発表した。同研究により、COPD 発症における予測因子の上位は、 FEV1/FVC、喫煙状況、アレルギー症状、咳、喫煙の程度を表す指標の一つであるパック・イヤーヘモグロビンA1cなどの順になることが明らかになった。
 予測因子1位の FEV1/FVCは、努力性肺活量に占める1秒量の割合で、努力性肺活量の何%を 1 秒間に吐き出すことができたかを表す。なお、同結果は、Journal of Medical Internet Research に掲載された。
 COPDのリスク因子として、たばこの煙を含む有害物質への長期的な曝露はすでに明らかになっている。だが、全ての長期喫煙者がCOPDを発症するわけではなく、他のリスク因子も存在している。
 共同研究では、COPD発症にいたるまでの経緯、および発症後の予後に関する研究をアストラゼネカと日立がそれぞれの専門性をもとに行った。
 同研究では、まず、日立の健康管理センターにおいて1998年4月から2019年3月の間に収集され匿名化された日立の従業員およびその家族の年次健康診断のデータ(喫煙歴、スパイロメトリーによる肺機能検査データ、咳・痰に関する問診票等)をもとに、日立がCOPDのリスク因子の解析を行った。
 研究対象は、30歳から75 歳の COPD および喘息の診断歴ならびにがん既往歴のない従業員およびその家族で、選別された 2万4815 人となる。また、データベースには臨床測定値 (肺機能検査等)および質問票への回答が含まれた。
 解析計画に基づき日立がそれらのデータをArtificial Intelligence(AI)を用いて解析し、現時点から3年以内にCOPDを発症するリスク因子を同定し、解析した。
 アストラゼネカは、その結果をもとに、COPDに関する知見や他の先行研究の結果なども踏まえ、アカデミアの研究者とともに COPD 発症の経緯や予後に関する研究論文を作成し、発表した。
 今回報告した論文では、COPD発症における上位10 位の予測因子は、 FEV1/FVC、喫煙状況、アレルギー症状、咳、喫煙の程度を表す指標の一つであるパック・イヤー(1日の喫煙本数/20 本x喫煙年数)、ヘモグロビンA1c、血清アルブミン、平均赤血球容積、肺活量(%)、および FEV1(%)の順となっている。
 COPD は、世界の死因 3 位である一方、緩慢に進行する疾患であるため、未診断率の高さが課題となっている。今回、長期継続的に測定されている健康診断データをAI により分析しCOPDを発症するリスク因子を同定したことで、それら因子のチェックによるCOPD診断率向上への寄与が期待される。

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