コロナ発生届の煩わしさでモチベーション低下 軽症例の掘り起こしはもういいよ 杉並区 柿田医院院長 柿田豊

 今日も帰宅が11時を過ぎた。
 とにかくコロナの発生届が煩わしい。何かの役に立つならまだしも、届出の内容も感染経路不明と書かざるを得ない例が多くて疫学的な意義が全く見出せず、手間と時間をかけて提出したところで保健所は手一杯ですぐには対応できない(保健所職員も今の制度により疲弊している)。
 何のためにやっているのかと思い始めるとモチベーションが下がり作業効率も落ちる。注意力が散漫になるなかで記載ミスや報告漏れがないか気に病むので精神的に疲労がたまる。
 帰ってきてもパソコンの画面の残像に苛まれてメンタルやられそう。学生時代の友人からメンタルモンスターと呼ばれる自分がこんな弱音を吐く人間だったと知る機会にはなった。
 軽症例の掘り起こしはもういいよ。うちでは今のところ100人ほどの患者さんのうち入院したのはお一人だけ。それも一人暮らしの高齢者だから念のためと言う理由で元気に退院してこられた。
 軽症で済むのは結構だけど、こちらはただ病名をつけるためだけに無駄に働かされている気がしてならず、見つけたところで虚無感しか残らない。今回は患者さんもコロナと言われても病状よりも隔離期間と家族内の濃厚接触者の対応を気にして苦笑いするだけ。遅くまでありがとうとお礼は言ってもらえても、こちらとしてはプロとしての充実感や達成感が全くなくただただ疲れるのみ。
 軽症例に手間を取られて現場が疲弊して重症例や他の重大な病気の対応に問題が生じることになるなら本末転倒だよ。

※個人の感想です。←お気に入りフレーズ

タイトルとURLをコピーしました