オプジーボの「CyberOncology」活用胃癌臨床研究でPRiME-R社と業務委託契約締結 小野薬品とBMS

 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は3日、新医療リアルワールドデータ研究機構(PRiME-R社、本社:京都市)と、「CyberOncology」を活用し、胃癌患者を対象に実施するオプジーボの企業主導型の大規模多機関共同臨床研究実施に関する業務委託契約を締結したと発表した。
 「CyberOncology」は、がん日常診療におけるリアルワールドデータを標準化/構造化して管理・統合するPRiME-R社の入力支援システムである。
 今回の臨床(観察)研究の目的は、CyberOncologyを活用して、実臨床において未治療の進行・再発胃癌の患者を対象にオプジーボと化学療法の併用療法の有効性、安全性および治療実態を国内約30施設の医療機関で調査するもの。
 この観察研究に先進的なCyberOncologyを導入することで、医療機関の入力負担の軽減、臨床研究データの精度向上およびデータ集計・分析の迅速化を目指している。
 なお、CyberOncologyを活用した企業主導型の大規模多機関共同臨床研究は今回が国内で初めてとなる。
 PRiME-R社が開発したCyberOncologyは、日常診療におけるリアルワールドデータを標準化/構造化して管理・統合するための入力支援システムである。臨床研究用データはこれまで、医療機関の電子カルテに蓄積されたデータから別途臨床研究専用の症例報告システムに手作業で入力し直す必要があり、二重の入力作業が発生していた。
 CyberOncologyの導入により、医療機関における電子カルテへの入力負担が軽減されるとともに、臨床研究にも活用可能なデータの精度を高めることができる。
 また、臨床検査値や薬剤投与情報等の構造化データの一部は電子カルテから研究用データとして自動的に抽出でき、効率的なデータ利用が可能になる。
 加えて、CyberOncologyは複数種の電子カルテに対応しており、医療機関で採用する電子カルテが異なる場合も一元的にデータを抽出できる。必要なリアルワールドデータを短期間で集約可能になるため、今回の大規模多機関共同臨床研究の精度向上と迅速化が期待されている。
 小野薬品とBMSは、今後も、多くのがん患者により安全で有効性の高い治療選択肢の提供に向けて、先進技術を駆使した新薬の開発や臨床研究などに積極的に取り組んでいく。

◆愛知県がんセンター 副院長兼薬物療法部部長・同研究アドバイザーの室圭氏のコメント
 オプジーボと化学療法の併用療法による胃癌一次治療は、新たな標準治療として現在多くの胃癌患者さんに実践されている。その承認の根拠となったP3試験は、均一のいわば限定的な集団のエビデンスである。
 今回の観察研究のリアルワールドデータから得られる安全性と有効性データは、実地臨床におけるヘテロな患者集団の情報であり、本併用療法の真の価値や実際の臨床現場における治療上の注意点などを教えてくれる貴重なデータ創出に寄与するものと期待している。

◆京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学講座教授・同研究アドバイザーの武藤学氏のコメント
 この度、わが国で2番目に罹患数が多い胃癌におけるがん免疫療法の実態をCyberOncology技術で収集する取り組みが始まることを大変嬉しく思う。
 今回収集されるデータが、胃癌治療におけるがん免疫療法の安全性と有効性を実臨床に即した形で可視化できれば、より安全かつ効果的な癌治療の実施と新たな開発に繋がると期待している。

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