20代〜40代男女不調実態調査でコロナ禍の影響が浮き彫りに  ツムラ

 ツムラは、20代〜40代の男女1800人を対象とした「不調に関する実態調査」結果を公表した。調査では、コロナ禍の影響が浮き彫りになっており、特に、女性の4人に3人は「なんとなく不調」を感じているものの、病院に行くのを躊躇しがちであることが判った。ツムラでは、このような症状の総称を「なんとなく不調」と定義し、自覚しながらもつい我慢しがちな症状や、調子が悪いものの病名の診断がつかない症状の総称としている。調査概要は、実施時期:2020年11月17日~ 11月18日、調査手法:インターネット調査、調査対象:全国の20代〜40代男女1,800人。なお、構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。
 調査結果では、次の主な概要が得られた。

日本人の2人に1人が「不調」を感じた2020年 女性の不調第1位は「肩こり」

●2020年のコロナ禍以降、不調を感じた人は57.2%。男性(50.2%)より女性(64.2%)に多い。

● 不調症状は「目の疲れ」(63.7%)、「疲れ・だるさ」(60.1%)、「肩こり」(59.6%)の順、女性の方が不調スコアが高い。

● 2020年女性の不調TOP3は 1位「肩こり」(72.8%)、2位「疲れ・だるさ」(71.8%)、3位「目の疲れ」(71.7%)。

 女性の75%が「なんとなく不調」を実感。なのに、病院にも薬にも頼らず放置・我慢する女性が7割

●2人に1人が心身の健康に「不安」(57.7%)を感じている。男性(50.3%)より女性(65.1%)に多く、男性は年代差がないが、女性は30代・40代で不安度が高くなり、年代で揺らぐ傾向に。

●日常生活のストレスも、男性(68.7%)より女性(77.4%)が高く、30代女性では8割(79.7%)にも。

●全体では7割が「なんとなく不調」(69.5%)を感じており、女性に限定すると4人に3人(75.2%)が実感。

●女性は「疲れ」「イライラ感」「頭痛」など治療・服薬で改善が期待できる症状の割合が多いにもかかわらず、なんとなく不調で「市販薬服用」「医師を受診」するのは1割台にとどまり、7割がその程度では「服用しない」「受診しない」と回答。

●女性の方がなんとなく不調を感じているのに、医師を受診しないのは、男性(65.0%)より女性(70.2%)の方が多い。

●さらに、日常生活で心身の調子が悪いときに病院に行くのを躊躇するのも男性(53.6%)より女性(69.4%)に多く、 女性30代(72.7%)・女性40代(70.7%)では7割が躊躇している。

引き続き「不調」が続く2021年か? 発表! 2021年の不調予想ランキング

●2021年も「不調」傾向が続く? 「不調」を感じそう59.5%。男性(52.8%)より女性(66.2%)が不調予想が高め。

●2021年に予想される不調症状は「目の疲れ」(59.8%)、「肩こり」(56.3%)、「疲れ・だるさ」(55.4%)の順。

●女性の不調TOP3は「目の疲れ」「肩こり」(同率68.7%)、「疲れ・だるさ」(65.9%)で、男性よりも不調スコアが高い。

 調査結果の詳細および、産婦人科医の内山心美氏(のぞみ女性クリニック院長)による考察は次の通り。

 日本人の2人に1人が「不調」を感じた2020年 女性の不調第1位は「肩こり」
 新型コロナによりライフスタイルの大きな変化が求められた2020年。心身共に、何かと負担の大きな1年であった。そこで、全国の20代〜40代の男女1,800人を対象に、2020年の心身の不調を振り返り、2021年の不調を予想してもらう調査を行った。

日本人の6割が心身の不調を感じた2020年!

男性より女性の方が不調を感じやすく、30代・40代女性の約7割が不調を感じている

 コロナ感染症拡大のコロナ禍で、身体面・精神面での不調を感じたかと聞くと、57.2%が「不調を感じた」と答え、15.3%は「ほぼ毎日」不調を感じている。不調を感じるのは男性(50.2%)より女性(64.2%)に多く、30代(66.7%)・40代(67.7%)の女性は約7割が心身の不調を訴えている[図1-1]。

 不調を感じた症状を聞くと、全体では「目の疲れ」(63.7%)、「疲れ・だるさ」(60.1%)、「肩こり」(59.6%)の順となった。
 男女別で見ると、男性は「目の疲れ」(55.7%)、「疲れ・だるさ」(48.3%)、「肩こり」(46.3%)の順となり、withマスク生活の影響からか、男性でも「肌荒れ・しみ」(28.1%)が10位となっている。
 一方、女性は、「肩こり」(72.8%)、「疲れ・だるさ」(71.8%)、「目の疲れ」(71.7%)の順となり、すべての症状で男性よりスコアが高く、また、女性特有の症状となる「生理痛・生理不順」(女性8位/51.4%)に加え、「冷え」(女性7位54.4%)や「むくみ」(女性9位/49.7%)がコロナ禍で増えているのも特徴だ[図1-2]、[図1-3]。

 女性の方が男性よりも、不調をより強く感じるようである。

病気というほどでもない健康不安やストレスなどの「なんとなく不調」の実態

女性は男性よりも健康不安が大きく、ストレスもより強く感じる傾向に

 多くの人が不調を感じた2020年。現在の心身の健康に対する不安を聞くと、43.0%が「時々不安」、14.7%が「ほぼ毎日不安」を感じると答え、約6割(57.7%)が健康に不安を感じている。男女別で見ると、男性(50.3%)より女性(65.1%)に多く、男性は年代による変化があまりないのに対し、女性は30代・40代の不安度68.0%と高く、年代で揺らぐ傾向が見られる[図2]。
 また、日常生活におけるストレスについて聞くと、全体の73.1%が「ストレスを感じる」と答えているが、やはり女性(77.4%)の方がスコアが高く、30代女性では8割(79.7%)にも上る[図3]。

女性の4人に3人は「なんとなく不調」を感じているが、7割は薬にも病院にも頼らず放置

女性は調子が悪くても病院に行くのを躊躇しがち

 健康への不安とストレスにさらされる現在、心身の調子がなんとなく悪いと感じる経験を聞くと、全体の7割(69.5%)が感じると答えており、女性の4人に3人(75.2%)は、自覚症状はあるものの我慢できる程度の「なんとなく不調」を感じている[図4-1]。
 不調を感じる人の対処法は、全体では「市販の薬を服用する」と答えたのは13.7%、「医師の診察を受診する」のも12.9%と少なく、7割がその程度では「服用しない」(68.4%)、「受診しない」(67.8%)と答えている。女性の方がなんとなく不調に悩まされる割合が高くなっているが、女性の受診率(11.2%)は男性(14.8%)よりも低くなっている[図4-2]。
 また、日常生活で心身の調子が悪いときに病院に行ったり、医師の診察を受けることに対して躊躇するかと聞くと、男性(53.6%)より女性(69.4%)が躊躇しがちで、30代(72.7%)・40代(70.7%)女性では約7割が躊躇すると答えている[図4-3]。不調があっても病院に行かず我慢してしまう女性が多いようだ。

2021年の不調予想ランキング

2021年も、6割が引き続き「不調」が続きそうと回答!

不調を感じる人は2020年より2ポイント増加

 最後に、来年2021年の心身の不調について聞いた。

 まず、2021年に心身の不調を感じそうかと聞くと、全体の59.5%が「不調」を感じそうと予想し、男性(21年52.8%>20年50.2%)よりも女性(21年66.2%>20年64.2%)に多く、男女共に2020年よりも不調を感じそうな予想となっている[図5-1]。

 不調を感じそうな症状は、全体では「目の疲れ」(59.8%)、「肩こり」(56.3%)、「疲れ・だるさ」(55.4%)、「頭痛」(49.6%)、「イライラ感」(46.9%)の順となり、2020年と同様のラインアップである。男性は「目の疲れ」(51.0%)、「疲れ・だるさ」(44.9%)、「肩こり」(44.0%)の順で、「肌荒れ・しみ」に代わり「憂うつ」(29.0%)が10位にランクインしている。
 女性は、「目の疲れ」「肩こり」(同率68.7%)、「疲れ・だるさ」(65.9%)となり、男性よりも不調スコアは総じて高めだ[図5-2]、[図5-3]。2021年は一層、不調への対処が必要となるかもしれない。

今回の調査結果についての産婦人科医・内山心美氏の解説

■今回のコロナ禍で、現代病がより顕在化している

 今回の調査結果を見て、男女共に「肩こり」「疲れ」「目の疲れ」が上位となり、IT化に伴う症状が多いですね。自粛期間中のテレワークやweb授業など、スマホやパソコンの利用時間の増加が主な原因ではないか。視力低下の若年化や、姿勢悪化による肩こり・腰痛の悪化は、一つの現代病といえるだろう。意識的にカラダを動かしたり、目を休める努力が必要である。

■女性がより不調を感じやすいのは、コロナショックによる女性ホルモンの変調も原因に

 男女別で見ると、男性より女性の方が不調に感じるスコアが高くなっている。原因は様々だが、緊急事態宣言などで自粛を強いられ、家族の在宅時間が増える中で子育てや家事など女性の負担が増えたことや、景気の悪化で仕事が減ったり退職や休職に追い込まれたりするなど、コロナ禍による影響は少なくないと思う。女性の不調症状の上位に挙げられた「肩こり」「倦怠感」「イライラ感」「頭痛」は、更年期障害やPMS(月経前症候群)によっても現れる症状である。女性のホルモンによる変調が、コロナショックによるストレスでより顕在化しているとも考えられる。

■漢方医学的にみても、コロナショックは「気・血・水」のバランスを崩している

 私は漢方医学も専門である。漢方医学では、人間の体は「気・血・水(き・けつ・すい)」がバランスを取り、互いに循環していれば健康な状態と考えるが、過労やストレスによりその流れや量のバランスが崩れると、気は上昇し、血が停滞、あるいは下降する。
 今回のコロナによる影響を漢方医学的に捉えると、テレワークや自粛による自宅時間の増加でカラダを動かさないと、気の巡りが悪い気滞(きたい)となり、うつ傾向となる。また、筋力が低下し代謝も低下すると、むくみや血の巡りが滞った瘀血(おけつ)の状態となり、冷えにつながる。過度なストレスにより気の変調である気虚(ききょ)、気逆(きぎゃく)、気滞(きたい)が現れ、二次的に血の滞りである瘀血となることで、痛みの原因となったり、月経不順、PMSで起きる精神症状につながったりすると考えられる。

 実際私のクリニックにも、ご主人の在宅が長引いたことでストレスを感じ、心身の不調を訴える女性や、休校をきっかけに月経痛やPMS、体調不良で来院する小学校高学年~中・高生の患者が増えている。
 また、顎まわりの尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう、ニキビ)も増えており、これはマスク装着による通気性の悪化や瘀血によるもの、ストレスによる糖分摂取などが原因として考えられる。

■女性に多い「なんとなく不調」はもう我慢しない! 専門家に相談してカラダもココロも元気を取り戻そう

 今回の調査では、女性の4人に3人が「なんとなく不調」を感じているにもかかわらず、7割の女性は病院にも行かず、行くことすら躊躇している。「疲れやすい」「頭痛」「めまい」などの症状は、やる気の問題などと誤解されがちである。だが、これらは女性ホルモンのバランスや、加齢、環境の変化に伴い生じるケースも多く、気のせいではなく、我慢しなくてよい。まずは、状態を理解し、さらに治療すれば改善できることを知っていただきたい。“不調“と表現されることの多いこれらの症状でも、さまざまな治療法がある。また、診察し器質的な原因がない場合でも、症状があれば一人一人の症状や体質に合わせて漢方薬を処方したり、薬物療法以外ではカウンセリングや生活習慣の見直しなど打開する方法はいろいろある。
 一人で抱え込まず、まずは医師に相談していただくのが大切かと思う。未曽有のコロナ禍で、それぞれが当たり前に我慢を強いられている。まずは、ご自分自身を十分頑張ってる!と褒めてあげてほしい。そして、自分のカラダの声、ココロの声に耳を傾けてあげて頂きたい。

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