パーキンソン病薬の開発計画変更で減損損失発生     田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は4日、連結子会社のニューロダーム社(本社:イスラエル国)が、グローバル開発中のパーキンソン病治療薬「レボドパ/カルビドパ持続皮下注製剤(ND0612)」について、開発計画変更に伴って、その開発品に係る無形資産の一部を第2四半期決算で減損処理し、減損損失(非経常項目)845億円を計上すると発表した。
 ND0612のグローバル開発においては、P3相試験の治験施設の開設および患者組み入れにおいて重要な立ち上げ期間に、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大が重なるなどしたため、2018年11月に発表した中期経営計画16-20の見直し時点の計画から約1年半の開発計画の延長を決定した。これに伴い、欧米での申請は2023年度になる見通しである。
 同開発計画の変更および競合品の開発状況等から収益性が低下する見込みとなり、直近の市場調査結果を踏まえて事業計画を見直した結果、ニューロダーム社による開発品に係る無形資産(仕掛研究開発費)の一部について、減損損失(非経常項目)845億円を2020年度第2四半期決算において計上した。
 同社は、医薬品とデバイスを組み合わせたND0612は、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的な医薬品になるとしている。
 ND0612は、レボドパの血中濃度を一定に保つことができる世界で初めてレボドパおよびカルビドパの液剤化に成功した持続皮下注製剤である。経口剤として投与されるレボドパおよびカルビドパは、その血中濃度が安定しないが、ND0612は液剤化することでこの薬物動態プロファイルを改善。安定したレボドパ血中濃度を維持し、それによってパーキンソン病における不随意運動(ジスキネジア)などの症状の改善が期待される。

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