田辺三菱製薬2020年度第2四半期決算 微減収・コア営業利益は増益

 田辺三菱製薬2020年度第2四半期決算は、売上収益1873億円(前年同期比0.4%減)、コア営業利益146億円(同24.5%増)、営業利益△619億円(同△745億円)、税引き前四半期利益△616億円(同△737億円)、親会社の所有者に 帰属する当期利益△510億円(同△593億円)となった。
 売上収益の内訳は、国内1550 億円(同0.3 %増)、海外323 億円(同 3.6%減)。国内医療用医薬品は、関節リウマチなどの治療剤「シンポニー」、2型糖尿病治療剤である「カナグル」、「カナリア」、アレルギー性疾患治療剤「ルパフィン」の増収に加え、2020年3月より潰瘍性大腸炎の適応追加した「ステラーラ」の寄与、インフルエンザワクチンの出荷前倒しなどの増収要因があった。その一方で、本年4月の薬価改定の影響を受けたものの、前年同期比0.8%増収の1503億円となった。
 ロイヤリティ収入等は、ノバルティス社に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア」等のロイヤリティ収入の減少などにより前年同期比15.1%減収の78億円となった。
 売上収益は、前年同期比で微減となったものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動自粛により、販売費や研究開発費が減少し、コア営業利益は増益となった。
 営業利益は、非経常項目として、ニューロダーム社が開発を進めているパーキンソン病の治療薬について、臨床試験の遅延、競合品の開発状 況等から収益性が低下する見込みとなり、直近の市場調査結果を踏まえて事業計画を見直した結果、製品に係る無形資産の減損損失を845億円計上した。また、戸田事業所の譲渡にかかる固定資産売却益など81億円を計上した。
 2020年度業績予想は、売上収益3730億円(対前年比1.8 %減)、コア営業利益170億円(同10.8%減)、営業利益△ 625億円(同△564 億円)、税引前利益△ 620億円同△555億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益△525億円(前期比△526 億円)で、本年5月13日に公表した予想数値を下方修正している。
 田辺三菱製薬は、ノバルティス社との間で仲裁手続きに入ったため、同社から受け取る「ジレニア ロイヤリティ」のうち、同社が契約の有効性について疑義を提起している部分については、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」が定める収益認識基準の要件を満たさなくなったため、売上収益の認識を行っていない。また、仲裁手続き中は同様の会計処理を継続しており、2020年度業績予想についても、仲裁手続きの継続を見込んで策定している。同社は、ノバルティス社が契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利があると主張しており、今後、仲裁において適切にこの権利を追求していく。
 なお、「ジレニア ロイヤリティ」について売上収益の認識を行わない部分については、仲裁終結時に、その結果に応じて一括して収益認識される。
 2020年度第2四半期の主要製品売上収益は、次の通り。
 ◆国内医療用医薬品=合計1503億円(対前年比0.8%増):レミケード234億円(同15.2%減)、シンポニー212億円(同3.6%増)、ステラーラ140億円(同10.9%増)、テネリア80億円(同1.5%減)、カナグル50億円(22.8%増)、カナリア50億円(同33.6増)、バフセオ(8月発売)3億円(同-)、レクサプロ76億円(同2.1%増)、ルパフィン32億円(29.0
9.0%増)、イムセラ21億円(同2.1%減)、ワクチン211億円(同34.3%増)。
 ワクチンの内訳は、インフルエンザ63億円(同253.2増)、テトラビック51億円(同12.5%増)、ミールビック同5.3%増)、ジェービックV29億円(同1.3%増)、水痘ワクチン25億円(同 0.6%減)、長期収載品等393億円(同12.0減)
 ◆海外医療用医薬品=合計251億円(同1.0%増):ラジカヴァ111億円(同4.9%減)、ロイヤリティ収入等78億円(同15.1%減)、インヴォカナロイヤリティ46億円(同11.8%増)、ジレニア ロイヤリティ20億円(同40.3%減)。

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