第一三共は17日、エンハーツ(抗HER2抗体薬物複合体[ADC])とペルツズマブの併用療法について、中国の国家薬品監督管理局(NMPA)より、HER2陽性の切除不能または転移性乳がん患者への一次治療への適応追加承認を取得したと発表した。
同適応の承認は、2025年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表された、HER2陽性の進行性または転移性乳がん患者への一次治療を対象としたグローバルP3試験(DESTINY-Breast09)の結果に基づくもの。
また、同剤はこれまでにNMPAより、HER2陽性乳がんの二次治療、化学療法既治療のHER2低発現乳がん、化学療法未治療のHER2低発現または超低発現乳がん、HER2陽性早期乳がんの術前療法、HER2陽性胃がんの二次治療、三次治療、およびHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの二次治療として承認されている。なお、今回の承認取得により、同剤の適応は8つとなる。
抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤である。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めている。
乳がんは、がんによる死亡の主な原因の1つであり、2024 年には全世界で新たに 240万人以上が診断され、69万人以上が亡くなった。
中国では、2024 年に約37.6万人が乳がんと診断され、約7.3 万人が亡くなっているとの報告がある。早期乳がんと診断された患者の生存率は高いものの、転移性乳がんの予後は悪く、5年生存率は約30%と推定されている。
HER2 は、乳がんを含む多くのがん細胞表面に発現するタンパク質であり、乳がんの5人に1人がHER2 陽性と言われている。
HER2 陽性の転移性乳がんは、HER2 過剰発現または増幅によって引き起こされる悪性度の高い疾患であり、転移性乳がん患者の15〜20%にみられる。
HER2 陽性の転移性乳がん患者への一次治療の現在の標準治療はタキサン、トラスツズマブおよびペルツズマブの併用療法(THP 療法)であるが、約3分の1の患者は病勢進行または死亡により二次治療に至らないとの報告もあり、新たな一次治療の選択肢が必要とされている。

