10月2日よりVLPコロナワクチンの国内臨床試験開始  田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は30日、連結子会のメディカゴ社(本社:カナダ)が開発中のVLP(植物由来ウイルス様粒子)新型コロナワクチンMT-2766について、10月2日より日本においてP1/2相臨床試験を開始すると発表した。来年3月までにMT-2766の日本での承認申請を行う予定だ。
 MT-2766は、カナダ、米国、英国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコで約2万4000人の治験参加者を対象にしたP2/3相臨床試験のP3相パートの投与を終了し、現在結果を解析している。海外で実施した試験および本試験のデータを用いて、早期の日本におけるMT-2766の承認取得を目指す。
 日本におけるP1/2相臨床試験の概要は、次の通り。

◆被験者:20歳以上の日本人男性および女性 計145名
◆試験方法:ランダム化プラセボ対照試験。被験者を高用量群、低用量群、プラセボ群の3群に割りつけ、21日間隔で2回接種
◆評価項目:MT-2766の安全性および免疫原性
 なお、同試験の詳細は、臨床研究実施計画・研究概要公開システム(jRCT2051210093)で紹介している。URLは、https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2051210093

ウイルス様粒子(VLP): 遺伝子を含まないため感染能力がない。
効率よく抗原を提示。
通常のウイルス:表面抗原、脂質膜、タンパク質、遺伝子を含む。

 VLPワクチンは、ウイルス様粒子(Virus Like Particle)製造技術を用いた新規ワクチンである。VLPは、ウイルスと同様の外部構造を持ち、ワクチンとしての高い免疫獲得効果(有効性)が期待される。
 加えて、遺伝子情報を持たないため体内でウイルスの増殖がなく、安全性にも優れる有望なワクチン技術として注目されている。また、植物を使用したVLP製造技術により、短期間で大量生産できるのも大きな特徴の一つだ。
 田辺三菱製薬グループは、中期経営計画21-25において、ワクチン領域を、中枢神経・免疫炎症領域とならぶ重点領域と位置付け、ワクチン領域においても新しいモダリティの開発に取り組んでいる。
 今後、新しいタイプのワクチンとなる植物由来VLPワクチンという新たな選択肢を届けることで、世界の最重要課題である感染症予防により一層貢献していく。

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