グラム陰性菌感染症治療薬「セフィデロコル」 リアルワールド試験で良好な臨床効果 塩野義製薬

 塩野義製薬は8日、グラム陰性菌感染症治療薬「」セフィデロコル」について、リアルワールド試験で良好な臨床効果が確認されたと発表した。
 スペインで実施されたCIRCE試験では、WHOの最優先リストに記載されているカルバペネム耐性腸内細菌目細菌に分類されるMBL産生腸内細菌目細菌に感染した患者に対する良好な臨床効果を確認。
 また、多くの薬剤に対する自然耐性を有し、高リスク患者で治療選択肢が限られる日和見グラム陰性菌であるステノトロフォモナス・マルトフィリアに対するセフィデロコルのグローバルでの有効性を示すデータも確認された。
 これらの試験結果は、17日からドイツのミュンヘンで開催される第36回欧州臨床微生物学感染症学会(ESCMID Global 2026)で発表される。
 CIRCE試験は、スペインで実施された多施設共同のカルテレビュー研究である。メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)産生の腸内細菌目細菌による感染症を有する成人患者232例を対象に、実臨床下におけるセフィデロコルの有効性・安全性確認を目的に実施された。
 MBL産生腸内細菌目細菌は、重症または高リスクの感染症に対して使用されることの多いカルバペネム系抗菌薬を含む、ほぼすべてのβ-ラクタム系抗菌薬を不活化する。そのため、利用可能な治療選択肢は大きく制限されることが多い。同研究の結果は次の通り。

・投与14日目において、セフィデロコルを投与された患者の68%が臨床的治癒を達成、82%が臨床的反応を認めた。
 臨床的治癒とは、原因病原体による感染症状が消失し、追加の抗菌薬投与を必要としない状態、かつセフィデロコル投与開始後96時間から14日目までに治療を補完する目的で他のグラム陰性菌に対する抗菌薬が追加投与されていない場合と定義される。
 臨床的反応とは、感染症の兆候および症状が完全に消失、または完全消失には至らないものの、臨床的改善が認められた状態、かつセフィデロコル投与開始後96時間から14日目までに、他のグラム陰性菌に対する抗菌薬が追加投与されていない場合と定義される。

・同集団における14日目および28日目の全生存率は、それぞれ90%および83%

・ベースライン時点では、患者の29%が免疫抑制状態、27%が集中治療室(ICU)に入室、13%が敗血症性ショックを呈していた

・追跡培養結果が得られた患者の微生物学的除菌率は、血流感染症で85%、尿路感染症(UTI)で82%

・同本試験において、薬剤に関連すると考えられる有害事象について新たな懸念は認められず

 なお、当試験で最も多く同定された病原菌は、カルバペネム耐性肺炎桿菌およびエンテロバクター属であり、これらはいずれも現在利用可能な治療法に対する高度な耐性を有することから、WHOにより「最優先(critical priority)病原体」に分類されている。同試験結果から、治療選択肢が限られていることが臨床上の課題とされているMBL産生腸内細菌目細菌による感染症に対し、実臨床下で治療選択肢を検討する上で、セフィデロコルの臨床的有効性および安全性を支持するエビデンスが示された。

 一方、ステノトロフォモナス・マルトフィリアは、複数の抗菌薬クラスに対して自然耐性を有する日和見病原菌であり、高リスク患者において治療選択肢が制限されることが多く、対策が重要な病原菌とされている。
 第36回欧州臨床微生物学感染症学会においては、多国間で実施されたサーベイランスプログラムであるSIDERO‑WT(2014~2019年)および SENTRY(2020~2024年)の追加データの発表も予定されている。
 このデータは、セフィデロコルの in vitro(試験管内)抗菌活性を評価したもので、4000株を超えるステノトロフォモナス・マルトフィリアの臨床分離株を対象に実施された。サーベイランスが行われた10年間にわたって、セフィデロコルは一貫して高い抗菌活性を示し、セフィデロコルの販売開始前後において感受性に有意な変化は認められなかった。
 多国間で実施されたカルテレビュー研究であるPROVE試験における119例を対象としたサブグループ解析では、ステノトロフォモナス・マルトフィリアに感染した患者の約3分の2が臨床的治癒に至った。これらの患者の多くは重症であり、セフィデロコル投与開始時に集中治療室(ICU)で治療を受けていた。
 同解析により、治療選択肢が限られる重症患者を含む実臨床下において、ステノトロフォモナス・マルトフィリア感染症に対するセフィデロコルの有効性が改めて示された。
 

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