初の売上高100億円突破 今後は高品質医薬品の安定供給と高い開発力で収益率向上に尽力田村薬品工業 田村大作社長に聞く

 医薬品製造受託を主業務とする田村薬品工業は、高い品質の医薬品の安定供給に注力し、2025年(1月~12月)通期業績において初めて売上高100億円を突破した。田村大作社長は、顧客と従業員に深い感謝の意を示すとともに、「今後も100億円の売上達成に拘っていくが、それが唯一無二の目標ではない」と明言する。その上で、「むしろ、高品質医薬品と高い開発力で収益率向上に力点を置き、営業利益を8%まで引き上げたい」と強調し、「目標を貫けるように社員一丸となって頑張っていきたい」と抱負を述べた。

今後はCDMOとして共同研究開発型受託をメインに伸長

 田村薬品工業は通期売上予想として、2026年は前期横ばいの103億円を見込んでいる。2027年は、若者のオーバードーズ問題に伴う成分変更でOTC製剤の製品切り替えがあり、100億円を少し下回る可能性がある。2028年は再び100億円台に復帰して、その後は右肩上がりになると予測している。
 2028年から右肩上がりとなる根拠として田村氏は、「受注先から製造プロセス・分析方法の開発、製造まで一括して請け負うCDMO(医薬品開発製造受託機関)としての要望をたくさん承っている」と明かす。2030年まで開発品を受託済みで、「2028年からは毎年2~3億円強の増収を見込んでいる」。
 同社では、非臨床、P1、P2の治験段階から受託し、初期製剤検討や少量の治験薬を製造し、そのデータを受注先にフィードバックする事業を展開している。「今後、共同研究開発型の受託をメインに伸長していきたい」と意気込む。
 その一方で、「安定供給と利益改善」にも余念がない。安定供給に関しては、受託先から生産計画を半年前から貰って人員確保しており、「顧客からの数量、納期要請に対してほぼお応えしている。当社が受注している製品については、供給が滞ることはない」と胸を張る。受託先からの増産要請に対しても2シフト生産体制の採用等で対応している。
 利益改善では、薬価改定の影響について、「自社医療用医薬品はないので直接影響は無いが、受託生産をしている医療用医薬品への影響は大きいと考える」と言及し、「委託加工費に対するコスト削減圧力が高まることは覚悟している。方や、自社の人件費高騰は一過性のものではなく今後も継続される」と断言。さらに、「優秀な人材確保のためにも継続的な待遇改善には対応せざるを得ず、いかに利益を確保するかが最大の経営課題である」と訴えかける。
 こうした中、外国人従業員数は14名(全従業員数460名)に上る。また、さらなるDXの推進についても「積極的に投資を考えている」と明かす。

3生産拠点の特長をフルに活かしたトータルな受託製造が強味

 同社は、本店工場、紀ノ光台工場、五條工場の3生産拠点の特長と役割をフルに活かした医薬品・医薬部外品・健康食品の企画から開発、製造までのトータルな受託製造が大きな強味だ。
 本店工場は、充填数が800本/分と200本/分の2ラインを要するドリンク剤製造および自社製品を含む固形剤の生産拠点として稼働している。五條工場は、中、小ロットの医療用医薬品、OTC医薬品の受託生産が主流である。
 紀ノ光台工場は、中、大ロットの医療用医薬品、OTC医薬品受託製造を主とする最新鋭工場だ。錠剤の一貫生産ではロボット導入により、夜間無人化での自動運転(24時間稼働)を実施している。最終包装のみ、製品によってサイズが異なり自動化が不可能なため、人による2シフト生産体制が取られている。
 紀ノ光台工場のA棟は7階建て4階層で3階層の1フロアが空いており、「特に、医療用医薬品の新しい製品を共同で製造してくれるコラボレート先を探している」。加えて、A棟の隣にB棟を開設して、医療用医薬品を製造するコラボ先もリサーチしている。

希少疾病医薬品の受注生産にも注力

 同社が3年前から手掛けている希少疾病用医薬品の受注生産も見逃せない。田村氏は、「先日、その患者団体の代表の方から当社の従業員に対し直接感謝の言葉をいただくと共に、希少疾病の医薬品の大切さを語って頂いた」と振り返り、「これは医薬品製造に携わる者にとって、とても心に残る出来事であると共に医薬品製造に対する誇りを感じた」と訴えかける。
 さらに、「将来的に希少疾病や難病の治療薬が増加する。その中で、低分子製剤の口腔内崩壊錠については、できる限りお受けしたい」と熱意を示す。希少疾病医薬品の口腔内崩壊錠受託は、様々な製薬企業にも告知しており、「主力業務の一つとしての成長」に期待を寄せる。

薬のラスト・ワン・マイルに特徴を持った医薬品メーカーを目指して

 近年の医薬品業界は遺伝子治療や細胞医療のような高度で付加価値のある研究が主流になりつつある。こうした中、田村薬品工業では「特に服用時に体に負担の少ない固形製剤の製剤開発」に尽力している。同社が目指すべき姿として「薬のラスト・ワン・マイルに特徴を持った医薬品メーカー」を掲げている。

 その成果の一つとして、日本デザイン振興会主催2023年度グッドデザイン賞において、第一三共エスファと共同開発した選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)エスシタロプラムOD錠「DSEP」が「グットデザイン賞」を受賞した。
 同品は、ユーザビリティを追求し、口腔内崩壊性、成形性、分割性のバランスが取れた製剤としての提供を実現したもの。デザインのポイントとして、①指で押すことにより容易に分割できる。②錠剤印刷においても、両面インクジェット印刷の適用工夫により、分割品双方に製品名が入る表示設計になっており、分割後の識別性も確保。③服薬アドヒアランスの向上を目指した口腔内崩壊錠ーが挙げられる。
 また、包装工夫としては、環境を配慮したバイオマスプラスチックボトル、FSC認証紙、及びSIAA・抗ウィルスコートの個装箱を採用している。こうした点が評価され、「グットデザイン賞」受賞に至った。
 最後に田村氏は、「少子高齢化で薬業界を取り巻く環境がまだまだ変化していく中で、当社としては患者様と従業員の幸せを第一に考えている」と断言。その上で、「ご期待に添えるように、適正品質と高い開発力、安定供給に更に磨きをかけて、若い従業員に魅力のある会社にしていきたい」と決意表明した。

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