日本ベーリンガーインゲルハイムは15日、肺線維症治療薬「ジャスケイド」について、特発性肺線維症および進行性肺線維症を適応症として発売したと発表した。
抗繊維化作用および免疫調整作用を有する経口のホスホジエステラーゼ 4B(PDE4B)阻害剤であるジャスケイドは、特発性肺線維症(IPF)患者を対象としたP3相FIBRONEERTM-IPF 試験および進行性肺線維症(PPF)患者を対象としたP3相FIBRONEERTM-ILD試験の結果に基づき、本年 5 月 18 日に国内での医薬品製造販売承認を取得した。
いずれの試験においても、プラセボと比較して、52 週時の努力肺活量(FVC:呼吸機能の測定指標)のベースラインからの絶対変化量(mL)の低下を有意に抑制し、主要評価項目を達成した。
また、これらの試験において重要な副次評価項目は達成されなかったが、両試験の併合解析において、既存治療薬を併用せずにネランドミラスト18mgの投与を受けた患者では、プラセボと比較して59%の死亡リスクの低下が名目上有意な差(5%有意水準では有意)で示された。
両試験での副作用発現率は、 FIBRONEERTM-IPF 試験ではネランドミラスト18mg 群、9mg 群、プラセボ群でそれぞれ50.5%、44.6%、35.6%、FIBRONEERTM-ILD試験ではネランドミラスト18mg 群、9mg 群、プラセボ群でそれぞれ44.5%、38.7%、32.1%であった。 そのうち、最も多く見られた副作用は下痢と体重減少であった。その発現割合はFIBRONEERTM-IPF 試験ではネランドミラスト18mg 群、9mg 群、プラセボ群でそれぞれ、下痢が 34.2%、22.2%、9.9%、体重減少が 6.4%、3.8%、3.6%、FIBRONEERTM-ILD試験においてはネランドミラスト18mg群、9mg群、プラセボ群でそれぞれ下痢が 27.1%、20.9%、13.0%、体重減少が 4.4%、2.5%、1.8%と報告された。
両試験において、重要な副次評価項目(IPF または間質性肺疾患(ILD)の初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院、または死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間(複合評価項目))は、どちらの試験においても達成されなかった。
IPF および PPF は、肺の線維化組織が蓄積して不可逆的となり、血管から酸素を取り込みにくくなる進行性の難病である。主な徴候および症状は、慢性的な空咳、息切れ、倦怠感、バチ状指(手足の指先が幅広く丸くなる)などで、呼吸機能は、ひとたび失われると回復しない。
IPF は主に 50 歳以上の男性に多く、日本における患者数は、IPF は約1 万数千人~3 万人、PPF は 5 万人未満と推定されている。
◆荻村正孝日本ベーリンガーインゲルハイム代表取締役医薬事業ユニット統括社長のコメント
今回、肺線維症の新しい治療選択肢を患者さんにお届けできるようになったことを大変うれしく思います。患者さんのおよそ半数が診断から5年以内に死亡していることから、多くのがんと同様に致死的な病気とされる一方で、IPF 患者では胃腸や肝臓への副作用の懸念から、特に高齢者を中心に患者さんの約3 分の1が投薬を受けていない。
また、治療を開始した患者さんでも、多くが早期に服用を中止してしまうことで病状の進行リスクにさらされおり、新たな治療選択肢の登場が望まれていた。
ジャスケイドが患者さんに適切に処方・投与されるよう適正使用の推進に努め、肺線維症患者さんの QOL向上に貢献するとともに、今後も患者さんのアンメットニーズに応えるために尽力していきたい。

