男性腹圧性尿失禁治療医療機器の国内製造販売承認取得 サイトリ社

 サイトリ社は8日、自社開発した高度管理医療機器「セルーションセルセラピーキットSUI」について、男性腹圧性尿失禁治療のための医療機器として、国内製造販売承認を取得したと発表した。今後、保険診療下で治療を提供できるよう保険適用に向けた手続きを行う。
 腹圧性尿失禁は、尿道括約筋機能の障害により、腹圧負荷時に尿が漏れる疾患で、女性においては妊娠・出産・加齢による骨盤底筋群の脆弱化や婦人科的手術による括約筋障害に起因する。わが国の腹圧性尿失禁の患者数は、約400万人に上ると推定されている。
 また、男性においては前立腺肥大症、前立腺癌の手術における括約筋障害により引き起こされるケースが多くみられ、女性に比べれば頻度は低いものの数十万人の罹患者が予測される。
 腹圧性尿失禁は、直接生命にかかわることは稀であるが、日常生活の多くの領域で支障を及ぼし、QOLを著しく障害する疾患だ。
 特に、男性の腹圧性尿失禁は、前立腺肥大症、前立腺癌手術後の罹患率が非常に高く、QOLを障害する。さらに、低侵襲で治療効果の高い治療法が現存しないため、新規治療法の開発が急務とされている。
 脂肪組織由来再生(幹)細胞(ADRCs)を用いた腹圧性尿失禁治療は、麻酔下に約250mL程度の皮下脂肪吸引を行い、吸引脂肪組織からサイトリ社が開発したセルーションセル セラピーキット SUIおよびセルーション遠心分離器を用いてADRCsを抽出するもの。
 同治療は、脂肪組織と抽出したADRCsを混合し尿道括約筋部粘膜下に注入、並びにADRCs単独を外尿道括約筋部に注入することで、尿道が物理的に閉塞され、腹圧性尿失禁を改善する。
 また、ADRCsを混合することにより、脂肪組織の長期的な生着が促進される。脂肪吸引、ADRCs抽出、尿道注入までを約3時間程度の一連の操作で実施できる。

◆白浜靖司郎サイトリ社代表取締役のコメント
 男性腹圧性尿失禁の治療に係る承認は、日本国内そして世界中でも最初の脂肪組織由来再生(幹)細胞を使用した泌尿器科領域におけるものである。これまで約20年に及ぶ基礎研究、臨床研究に始まり臨床試験を経て承認取得に至った。
 男性腹圧性尿失禁はこれまで低侵襲で治療効果の高い治療法が無く、患者さんのQOLを著しく低下させていたが、この度の承認が大きな画期的な臨床の進歩であり、脂肪組織由来再生(幹)細胞が今後も他の疾患での治療を変革し、継続的な革新を起こすと確信している。

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