“2030年代売上高1000億円”のより早い時期での達成に期待

JCRファーマは15日、イタルファルマコからの導入したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬「ジビノスタット」について、 国内で2027年内に承認を取得し、販売を開始する計画をPMDAとの相談結果を踏まえ決定したと発表した。
海外で実施された臨床試験成績を主要な根拠に2026年内に日本における製造販売承認申請を行い、2027年内に承認取得、販売開始を目指すもの。また、同剤の製造販売承認申請とは独立した位置付けとして、薬物動態および安全性の評価を目的に日本人DMD患者を対象とした臨床試験を実施する。
同日開催した「ジビノスタットアップデート説明会」で会見した薗田啓之社長は、「本剤は、国内での売上高350億円が見込まれる」と説明し、「2030年代売上高1000億円を目指す当社にとっては、その確度が高まり、より早い時期の達成が期待される」と訴求した。
ジビノスタットは、米国、EU、イギリスを含む複数の国々で既に承認されており、米国では「6歳以上の患者、欧州では、「ステロイドとの併用、歩行可能な6歳以上の患者」を対象に処方されている。
日本におけるDMD患者数は約2700人で、そのうち「歩行可能な6歳以上の患者」は1000人以上に上る。薗田氏は、「治療コストは 5000万円/年で、対象患者(1000人以上)の70%が使用と想定すると売上高約350億円が見込まれる」と試算した。
その上で、「ジビノスタットの売上高が、当社の2030年代売上高1000億円の目標に大きく寄与するのは明白である」と断言し、「同剤が無い時も当社が有するアセットのグローバル化等で十分目指せる数字とと考えていた。だが、この薬剤が加わったことでその確度が高まり、より早い時期の達成が見込まれる」と強調した。
DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異によるジストロフィン蛋白質の欠損が原因で発症する希少疾患である。主に男性で発症し、3歳~5歳で症状発現、5歳頃から運動機能障害が進行し、多くは10歳前後に歩行能喪失する。
その発症メカニズムは、DMD 遺伝子の変異によってジストロフィン(蛋白)生成ができなくなり、HDAC活性が上昇して「筋萎縮症」、「慢性的な炎症」、「筋修復の低下」、「筋の繊維化と脂肪化」を惹起する。
病状が進行するにつれて筋力低下は悪化し、歩行困難、最終的には歩行不能に至る。やがて心臓や呼吸筋も影響を受け、これらが早期死亡の主な原因となる。
ジビノスタットは、DMDにより亢進したHDACを阻害することで、「筋修復、筋再生の促進」、「線維化および脂肪化の抑制」、「疾患の進行抑制、運動機能の維持」を促す。 ジビノスタットの海外P3試験(EPIDYS Study)では、「歩行機能に重要な5つの筋において、対照群と比較して脂肪割合を低下させた(72週時点)」結果が重要ポイントとして注視されている。
また、ジビノスタット+コルチコステロイドは、プラセボ+コルチコステロイドと比較して、72週時点において、 主要評価項目である4SC試験時間の悪化を1.78秒減少させた。
安全性では、消化管障害、血小板減少、中性脂肪上昇などの有害事象は認められたものの、その多くは管理可能である。
JCRファーマでは、PMDA対面助言の結果を踏まえ海外データに基づき2026年内の申請、2027年内承認取得、販売開始を目指している。
現在、国内ではステロイドを除くDMD治療においては、遺伝子治療とエクソンスキッピング療法の2製剤が承認されている。遺伝子治療は、「抗AAVrh74抗体が陰性の患者、歩行可能な患者、3歳以上8歳未満の患者」、エクソンスキッピング療法は「特定の遺伝子変異を有する患者」を対象としている。
薗田氏は、「既存薬では年齢や遺伝子変異の条件により適用対象となり得る患者は限定的である。ジビノスタットは、遺伝子変異に依存せずに使用可能なためアンメットメディカルニーズは大きく、商業的ポテンシャルも高い」と同剤への期待を膨らませる。

