大阪大学発ベンチャー「クオリプス」への出資契約締結  大幸薬品

 大幸薬品は4日、大阪大学発ベンチャーのクオリプス(本社:東京都)が実施する第三者割当増資を引き受け、同日、5億円(議決権ベース12.4%)を出資する契約をクオリプスと締結したと発表した。
 クオリプスは、大阪大学大学院医学研究科心臓血管外科学(澤芳樹教授)によるiPS細胞由来心筋細胞シートに係る技術・研究成果をベースとしており、同シートの開発・事業化を図る目的で2017年3月21日に設立された大阪大学発のベンチャーである。
 iPS細胞由来心筋細胞シートは ヒトiPS細胞から作製した心筋細胞を主成分とした他家細胞治療薬で、シート状に加工されたものを心臓に移植する。心臓移植や人工心臓装着以外に有効な治療法がない重症心不全の患者を対象とし、心機能の改善や心不全状態からの回復等の治療効果が期待される。
 大幸薬品では2017年から、大阪大学大学院医学研究科と産学連携により、低濃度二酸化塩素ガスによる空間除菌システムを中心に、空間環境感染制御学共同研究講座を開設し、再生医療分野や感染制御分野での臨床応用に向けての研究を進めている。
 現在、二酸化塩素ガスを用いた細胞培養器でのiPS細胞の長期継代培養時の感染制御とその培養細胞への影響について研究が進展しており、細胞培養器や細胞加工培養施設等での新たな衛生管理方法の確立を目指している。こうした背景から再生医療分野での当該研究の親和性を加味し、クオリプスに出資することを決定した。
 近年、再生医療には多大な期待が寄せられており、損傷した臓器や組織の再生を通じ、失われた人体機能を回復させる新たな医療は、難病をもつ患者様のQOLの大幅な向上にも可能性が広がる。
 クオリプスによる同事業は、深刻な心臓移植のドナー不足等にある重症心不全患者に対する新たな治療の創出に寄与するもので、大幸薬品では、同契約締結を通じて、クオリプスの事業化を支援することで、医療発展への寄与を目指している。

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