プロタゴニスト・セラピューティクスと真性多血症治療薬候補導入で契約締結 武田薬品

 武田薬品は1日、プロタゴニスト・セラピューティクスと真性多血症 (PV) の治療薬候補「rusfertide」の開発・商業化に関する全世界でのライセンスおよび提携契約を締結したと発表した。
 rusfertideは、天然型ホルモンヘプシジンの注射用ヘプシジンミメティクスペプチドで、現在ピボタルP3試験(VERIFY試験)を進行している。
 PVは、赤血球の過剰産生を特徴とする希少な慢性血液疾患。米国では16万人もの患者が罹患しており、ヨーロッパでも有病率は同様である。PVの特徴的な症状は、赤血球数の増加と鉄欠乏症で、患者は心臓発作や脳卒中などの心血管や血栓性イベントのリスクが高くなり、疲労や錯乱などの症状で生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがよくある。
 同契約に基づき、プロタゴニスト・セラピューティクスは3億ドルの一時金を受領し、追加的に全世界での開発や審査上のマイルストン、および商業上のマイルストン、ならびに米国外での売り上げに応じた段階的なロイヤリティを受領する権利を有する。
 プロタゴニスト・セラピューティクスは引き続きP3試験の完了と米国規制当局による承認まで、研究開発を担当する。武田薬品は米国外での開発権を有し、グローバルでの商業化活動のリードを担う。
 プロタゴニスト・セラピューティクスのペプチド技術プラットフォームを通じて発見されたrusfertideの作用機序は、鉄の恒常性を調節し、体内の鉄の吸収、貯蔵、分散を制御すると考えられている。
 真性多血症における rusfertideのP2相REVIVE試験の無作為化部分は、主要評価項目を達成した。2年間の非盲検延長試験による長期追跡データは、12月上旬に開催された米国血液学会2023年年次総会で発表され、PV患者において、持続的なヘマトクリット制御、瀉血使用の減少、長期忍容性が示され、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 今回の発表は、武田薬品の希少血液疾患における豊富な経験に基づくもので、超希少血液凝固疾患である先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)に対する武田薬品の治療薬「ADZYNMA」の、最近の米国FDAによる承認の発表に続くものだ。
 米国の規制当局への申請後、武田薬品はrusfertideの商業化を主導し、 Pプロタゴニスト・セラピューティクスは米国において共同で情報提供活動を行うオプションを有することになる。
 また、同契約に基づき、Pプロタゴニスト・セラピューティクスは、50:50のプロフィットシェアからオプトアウトする権利を有する。その場合、プロタゴニスト・セラピューティクスは、オプトアウトに伴う対価と増額されたマイルストンおよびロイヤリティを受領する権利を有する。
 一方、武田薬品は、いずれの場合においても米国外の完全な権利を維持する。なお、契約の有効性は、ハート・スコット・ロディノ法に基づく該当する待機期間の終了または満了を条件とする。

◆Dinesh V. Patelプロタゴニスト・セラピューティクス社長兼CEO(博士)のコメント
 ペプチド医薬品の創薬と開発におけるパイオニアとして、当社のイノベーションと開発への洞察から最大のインパクトを得るためには、適切なパートナーと適切なタイミングでの提携が重要だと考えている。
 今回の契約は、プロタゴニスト・セラピューティクスに転機をもたらすものとなり、当社はP3試験の完了に集中できると同時に、武田薬品の卓越したグローバルな商業化能力を活用してファースト・イン・クラスとなる新しい化学物質の商業化に向けた活動を迅速に開始することができる。 完全統合型製薬企業への転換に向けて、本契約は、初上市に内在する実行リスクを軽減し、タイミングを最適化し、rusfertideの潜在的なピーク売上の範囲を引き上げるとともに、商業活動に積極的に参加することを可能とし、米国での50:50のプロフィットシェアをもたらす。

◆ジュリー・キム武田薬品 U.S.ビジネスユニットのプレジデントおよびU.S.カントリーヘッドのコメント
 プロタゴニスト・セラピューティクスとの契約は、希少疾患分野の開発後期段階の資産を取得し、既存のインフラと専門知識を活用するという当社の戦略における重要な一歩である。この契約は、同社の科学における強みと当社の市場へのリーチと希少疾患への理解を組み合わせ、そして最も重要なこととして、疾患とともに生きる患者さんをサポートすることへの注力を示したものである。
 希少疾患と血液疾患に対する70年以上の革新とコミットメントを生かし、真性多血症の患者さんにファースト・イン・クラスの治療法を提供することで、重要なニーズに対応できることを期待している。rusfertideが登録臨床プログラムを完了するにあたり、プロタゴニスト・セラピューティクスと緊密に協力できることを楽しみにしている。

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