音刺激によるヒト脳のガンマ波同期を確認 塩野義製薬

40Hz振幅変調音による日常生活での認知症予防臨床応用に期待

 塩野義製薬は2日、特定の処理を施した音を聴取した際に、ヒトの脳波の一種である40Hzのガンマ波が同期されることを確認したと発表した。
 提携するピクシーダストテクノロジーズ(PxDT社)が、Society for Neuroscience(北米神経科学学会)主催の学術発表会「Neuroscicence 2023」において報告したもの。
 Neuroscicence 2023は、脳神経科学に関する世界で最大の学術発表会のひとつ。今回発表した研究は、塩野義製薬および「音刺激による脳活性化および認知機能改善」に向けた共同研究に関する基本合意書を締結しているPxDT社、ならびに国立研究機関である産業技術総合研究所との共同研究として進められている。
 これまでの世の中における先行研究では、認知症患者でのガンマ波低下が報告されている。また、40Hzの感覚刺激(音や光)の呈示によって脳内のガンマ波を同期させることで、認知機能低下や脳容積の縮小の抑制などが期待できる報告も成されている。
 一方、従来の研究で用いられた40Hz音は、音声情報などを含めることの出来ない単調なパルス音であり、毎日聞き続けるのは難しく、日常生活の中に取り込みづらい可能性があった。
 今回発表した研究では、特定の処理を施した音を被験者に聴取させて脳活動を計測した結果、40Hzの振幅変調音を聴取した群が、比較対象とした振幅変調していない40Hzの低周波音を聴取した群と比べ、ガンマ波が統計学的に有意に強く同期されることが確認された。
 単調なパルス音ではなく、音声情報を含めることの出来る振幅変調音によってガンマ波が同期されることを示したこの結果は、ガンマ波の同期を目的として、音源に関わらずテレビの音や音楽など、変調する音を任意に選択できる可能性を示唆しており、40Hzの振幅変調音が日常生活における認知症予防の臨床応用に役立つことが期待される。

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