感染症トータルケア構築で医療ICTのアルムと業務提携契約を締結 塩野義製薬

 塩野義製薬は19日、医療ICTベンチャーのアルム(本社:東京都)と感染症トータルケアの構築を目的とした業務提携契約を締結したと発表した。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、これまで変異株の発生を一因として、世界各地で感染拡大を引き起こしてきた。現在は、ワクチン接種の普及やオミクロン株への置き換わりにより、感染者の重症化率が低下してきたため、グローバルでの混乱が収束に向かいつつある。
 わが国でも2023年5月8日に、COVID-19の感染症法上の位置付けが5類に移行したことを受け、感染症対策は個人の主体的な選択や判断に委ねられることになった。
 一方で、COVID-19は、今なおウイルスの変異を繰り返し、多くの人々の健康や生活に影響を及ぼし続けている。感染の再拡大による医療ひっ迫への懸念に加えて、将来のパンデミックに対する備えの位置づけから、流行の早期検知や日常的あるいは定期的な予防措置、診断・治療へのアクセスの確保、外来診療では困難な感染症治療後のフォローアップ等、感染症を社会全体でケアできる体制の必要性が高まっている。
 塩野義製薬とアルムは、それぞれ感染症領域において培ってきた実績を基に、COVID-19を取り巻く課題の解決に向けて取り組んできた。塩野義製薬は、60年以上にわたる感染症領域での強みを活かし、下水疫学調査サービスの開始や予防ワクチンの開発、診断薬の販売、治療薬の提供など、幅広い医療ソリューションの提供を通じて、COVID-19をはじめとする感染症のトータルケアの実現に注力している。
 一方、アルムは、流行当初からICTを活用した感染症対策ソリューションを広く展開し、医療提供体制の強化に貢献するだけでなく、提携する医療機関とともにPCR検査やワクチン接種データを活用した感染症に関するエビデンスの創出も行ってきた。
 両社は、今回の提携により、塩野義製薬が有する感染症対策のソリューションと、アルムが開発・提供する救命・健康サポートアプリ「MySOS」とを組み合わせたヘルスケアプラットフォームを構築し、医療機関や自治体等の協力の下で感染症対策の新たな社会モデルを実現できるよう連携して取り組む。
 具体的な取り組み内容は次の通り。

①エビデンス創出:アルムが提携する医療法人社団天太会および感染症専門医療機関において、薬とアプリの組み合わせによるトータルケアのエビデンス創出を行う。

②実証事業:自治体との連携により、MySOSを活用した受診前の事前問診・対面/オンラインのいずれにも対応可能な診療体制支援・診療後フォローアップのオンライン化を整備し、これらを通じた医療ひっ迫リスクの軽減効果、医療従事者や患者の双方へもたらすメリット、自治体からの評価等の検証を行う予定である。

 なお、同取り組みは一部地域より開始し、有用性の確認をもって順次地域を拡大していく。
 塩野義製薬とアルムは、両社の強みを融合した感染症トータルケアにより、一般生活者や患者のQOLの向上を図るとともに、人々の感染症に対する脅威や不安を取り除き、安心して生活することができる社会の実現を目指していく。

タイトルとURLをコピーしました