「AV-001」 米国IDSMBが急性呼吸窮迫症候群P2試験における安全性を肯定的評価 アンジェス

 アンジェスは15日、カナダのバイオ医薬品企業 Vasomune社と共同開発している Tie2 受容体アゴニスト「AV-001」が、米国における独立データ安全性モニタリング委員会(IDSMB)から現在実施中のP2試験における安全性について肯定的評価を受けたと発表した。
 米国における臨床試験においては、臨床試験実施主体から独立した第三者機関である IDSMB が臨床試験の安全な実施をモニタリングする仕組みがある。IDSMB は、臨床試験の実施過程において、必要に応じて安全性に関する評価を実施する。
 AV-001は、トロントのサニーブルック病院のサニーブルック研究所で発見及び設計されたもので、アンジェス社との共同開発契約に基づいて Vasomune社によって開発されている。AV-001は、血管系内皮細胞表面で最も高発現している膜貫通タンパク質である Tie2 受容体を標的とする新規の治験薬。Tie2-アンジオポエチンシグナル伝達軸を活性化し、複数の下流経路を刺激することにより、内皮細胞の安定性を高め、正常なバリア防御を回復させ、血管漏出を阻止することにより、血管系を正常化する。
 血管機能障害は、COVID-19、インフルエンザ、細菌性敗血症、急性腎障害、緑内障、出血性ショック、敗血症、脳卒中、糖尿病に伴う合併症などの患者の基礎疾患病態生理に関与している。
 重要事項は、複数の前臨床試験において、AV-001が内皮細胞間の結合を強化し、内皮細胞の生存を促進したことで、肺水腫が減少し、未治療の対照薬と比較して肺機能が改善し、生存率が有意に改善したことである。
 なお、今回の選定に伴い、アンジェスの2023年12月期の連結業績への影響はない。今後開示すべき事項が発生した場合には、速やかに開示する。

◆Brian E. Jahns Vasomune 社 President and COO(Dr.)のコメント
 IDSMBより、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者を対象とした AV-001 の有効性、安全性、忍容性を評価するP2試験の継続が推奨されたことを大変嬉しく思う。我々は、Tie2シグナルを回復させることにより、内皮の安定性を促進し、バリア防御を強化し、血管漏れを阻止することで、ARDS患者の予後を大幅に改善できると確信している。
 このP2試験は、治験担当医と Vasomune チームの集中的な努力と、権威ある米国国防総省の 2 つの助成金による信頼と支援によるものである。

◆山田英アンジェス社長のコメント
 この重要な臨床試験で得られたデータは、ARDS の治療に役立つものであり、このマイルストーンによって AV-001 の臨床開発が加速することが期待される。

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