フォシーガ 新たなサブ解析でCKD治療の心腎・死亡率のさらなるベネフィット裏付け  アストラゼネカ

 アストラゼネカは16日、フォシーガについて、同剤を対象としたP3相DAPA-CKD 試験の3つの新たなサブ解析により、2型糖尿病の有無にかかわらずCKD (慢性腎臓病)治療における心腎および死亡率に対するベネフィットの一貫性がさらに裏付けられる結果を得たと発表した。
 また、リアルワールドエビデンス(RWE)研究となるREVEAL-CKDでは、世界的にステージ 3 の CKD 診断率が著しく低いことが明らとなった。これらのデータは 2021年の米国腎臓学会(ASN)腎臓週間で発表された。
 DAPA-CKD 試験における腎臓、心血管(CV)および死亡率のアウトカムに関する地域別の解析データから、CKD患者におけるフォシーガの有益性は、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパおよびアジアを含む事前に規定された地理的地域間においても同程度であることが示された。
 複合主要評価項目である推定糸球体濾過量(eGFR、腎機能の重要な指標)の50%以上の持続的低下、末期腎疾患(ESKD)の発症および、心血管または腎不全による死亡の相対リスク減少率は、4つの地域で一貫して30~49%であった(プラセボと比較したフォシーガの絶対リスク減少率は3.3~8.0%)。
 地域間での不均一性は認められなかった(p=0.77)。
 また、別のサブ解析では、ベースラインの心血管系併用薬がCKD患者におけるフォシーガの効果に影響を与えるかが評価された。
 その結果、様々な心血管系併用薬使用の有無にかかわらず、CKD患者における腎臓、心血管評価項目および死亡率に対するフォシーガの明らかな有益性が示された。
 具体的には、主要複合アウトカムの最初のイベント発生までの時間(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、心血管または腎不全による死亡)におけるフォシーガの効果は、プラセボとの比較で、ベースライン時にアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用していた患者(ハザード 比 [HR]0.61 、 95% 信 頼 区 間 [CI]0.51-0.74)と使用していない患者(HR0.54 、95%CI0.20-1.46;交互作用の p=0.69)で同程度であった。
 また、利尿薬、カルシウム拮抗薬およびβ遮断薬など、解析された他の心血管系併用薬使用の有無にかかわらず、フォシーガの一貫した効果が示された。
 DAPA-CKD 試験の事前に規定された解析において、フォシーガ投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けられた患者のeGFRスロープは、フォシーガ群では-2.88mL/min/1.73㎡/年(eGFR スロープ、平均値[標準誤差]=0.11)、プラセボ群では-3.83mL/min/1.73㎡/年(標準誤差=0.12)となり、フォシーガは CKD 患者における年間のeGFR低下の程度を有意に低減した(中央値2.3年)。
 また、新たなデータから、治療開始後早期のeGFRの低下は、フォシーガで治療した患者により多いことが示された。この早期のeGFR の変化は、フォシーガの作用機序と関連しており、糸球体における好ましい血行動態変化を反映していると考えられる。
 なお、低下の程度にかかわらず、この早期におけるeGFR の低下は、重篤な有害事象、有害事象による治療中止、腎臓関連事象または体液量減少事象のリスク増加とは関連していない。
 一方観察研究である REVEAL-CKD 研究の新たなデータによると、ステージ3のCKD患者のうち、診断された割合はフランスではわずか4.5%、日本では 7.9%に過ぎない。
 REVEAL-CKDは、多国籍観察研究であり、同研究の目標は、診断されていないステージ3のCKDの有病率および予測因子について、これまでで最も信頼できる評価の提供にある。
 REVEAL-CKDは、11カ国(米国、フランス、日本、中国、ドイツ、イタリア、スペイン、カナダ、オーストラリア、英国およびブラジル)について評価し、推定100万例の患者に関するデータを収集する。
 結果は、償還請求や電子カルテを含む国別データベースから抽出される。同試験は、2020年12月に開始され、2021年12月に完了する予定である。

◆DAPA-CKD試験治験運営委員会共同代表者のHiddo L. Heerspink氏(オランダ・グロニンゲン大学医療センター教授)のコメント
 P3相DAPA-CKD試験のサブ解析結果は、CKDの治療におけるフォシーガの有効性と安全性に関するエビデンスを強力に裏付けている。
 フォシーガは、疾患の進行を遅らせることで現在の標準治療を大きく変え得る重要な治療選択肢である。つまり、より早期の診断が患者さんのアウトカム改善の重要な要素となる。

◆Joris SilonアストラゼネカCVRM バイオファーマビジネスユニット シニアバイスプレジデントのコメント
 これらのデータは、新たな治療法を開発し、CKD の早期診断の重要性の認識を高めるという我われのコミットメントを裏付けるものである。
 我われは、早期の検査と診断に重点を置くことで、患者さんにできるだけ早期に治療を受けていただき、病気の進行を遅らせ、アウトカム改善の機会を最大化できるよう支援していく。

タイトルとURLをコピーしました