レカネマブ アルツハイマー病治療薬として米国 FDA よりフル承認取得 エーザイ

 エーザイは7日、レカネマブについて、アルツハイマー病治療薬として米国 FDAよりフル承認を取得したと発表した。レカネマブは、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示し、フル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬となる。
 レカネマブは、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化 IgG1モノクローナル抗体である。同剤は、この進行性の慢性疾患を治療するために、継続的に蓄積される最も神経毒性の高い Aβ(Aβプロトフィブリル)をターゲットとして除去し、既存のプラークを除去する。2023 年6 月、FDA の末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNS)は、P3相 Clarity AD 検証試験の結果が、同剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることを全会一致で支持した。
 また、同諮問委員会は、レカネマブのベネフィット・リスクを総合的に確認した。2023 年 1月 6 日に FDA より迅速承認を取得している。
 レカネマブは、多様な人種・民族、併存疾患や併用治療薬、ADによる軽度認知障害(MCI)と軽度 AD など米国メディケア受給者に一般化可能な集団において、臨床的に意義のある認知・機能低下の抑制を実証した。レカネマブによる治療については、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度AD(総称して早期AD)の当事者様において開始する必要がある。
 今回のレカネマブのフル承認は、エーザイの大規模グローバルP3試験であるClarity AD 試験のデータに基づくもので、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成した。
 主要評価項目は、全般臨床症状の評価指標である CDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)で、レカネマブは、CDR-SBにおける18カ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制した。
 また、副次評価項目の一つである、衣服の着脱、食事、地域活動への参加など当事者が自立して生活する能力を介護者が評価するADCS MCI-ADL(AD Cooperative StudyActivities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment)においては、統計学的に有意かつ 37%のベネフィットが認められた。
 同試験結果は、2022 年11 月 29 日に、アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて発表され、同時に査読学術専門誌 the New England Journal of Medicine に掲載された。
 また、レカネマブの FDA フル承認を受け、メディケア&メディケイド・サービスセンター(CMS)は、同剤に対する幅広いメディケアでの保険適用が可能となったことに加え、簡便なデータ提出プロセスを含む、レジストリの詳細について発表した。医療従事者が必要なデータを提出するためのCMSが運営するレジストリが利用可能となった。
 エーザイは、メディケアが適切な当事者に対してこの重要な治療法を保険適用することを歓迎している。これにより、米国における幅広い医療環境下において、レカネマブの保険償還とアクセスが進展すると考えられる。
 また、レカネマブは、エーザイが開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。

◆内藤晴夫エーザイ CEOのコメント
 このたび、レカネマブが、AD の進行を抑制し日常生活機能を維持することが示された治療薬として、世界で初めて FDA からフル承認された。約40年にわたるエーザイのAD 研究の成果が認められ、米国の当事者にお届けできることは、研究開発を中心とする hhc(human health care)企業として誇りに思う。
 ADは、進行性の重篤な疾患であり、当事者だけでなく、その大切な人々、ケアパートナー、さらには社会にも大きな影響を及ぼす。AD による軽度認知障害や軽度ADは、より早期段階での治療により、より大きなベネフィットを得られる可能性がある。
 エーザイは、レカネマブへの広範でシンプルなアクセス環境を構築し、当事者へ早期段階で診断と治療を提供できるよう努めるとともに、添付文書に基づく安全で適正な使用を推進し、早期AD当事者とその家族のベネフィットの最大化をはかっていく。

◆Christopher A. Viehbacherバイオジェン社長兼CEOのコメント
 本日、AD 治療における画期的な進展があり、以前は治療が難しいと思われていたこの疾患に対する治療の新しい時代を切り開く最前線に立てたことを誇りに思う。この困難な疾患に対する治療法を見つけるために、長年努力を続けてこられた人々に心から感謝する。 エーザイと協力し、対象となる患者が一刻も早くレカネマブにアクセスできるよう尽力したい。

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