東京大学とSGLT2の細胞内への糖取り込み機構をクライオ電子顕微鏡解析で解明 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は7日、東京大学大学院理学系研究科濡木理教授との共同研究でSGLT2タンパク質-阻害剤複合体の高分解能でのクライオ電子顕微鏡解析に成功し、糖の細胞内取り込み機構を解明したと発表した。
 また、同研究成果は、今月、Nature Structural & Molecular Biology誌に論文掲載された。
 SGLT2阻害剤は、腎尿細管において糖の再吸収を行うトランスポーターであるSGLT2を阻害し、血糖値を低下させる2型糖尿病治療薬である。今回の共同研究では、SGLT2タンパク質と様々なタイプのSGLT2阻害剤(4つのグリフロジン化合物と天然物フロリジン)との複合体構造を、クライオ電子顕微鏡を用いて解析した。
 その結果、自社医薬品であるカナグリフロジンを含む4つのグリフロジン化合物は、ナトリウムが結合した細胞外側に開いた構造の細胞外側にある糖結合部位に結合するのに対し、創薬の端緒となった天然物フロリジンは、ナトリウムが結合しない細胞内側に開いた構造の細胞質側の部位に結合していることを解明した。
 この構造から得られた知見を元に、自社でのトランスポーター機能解析技術による実験データを加えて考察した結果、SGLT2が糖を輸送する際に、ナトリウムが構造変化の起点となり、ナトリウムが外れることで糖の取り込みが起こることが明らかになった。(図)

 今回の研究成果は、田辺三菱製薬のタンパク質を解析する高度な技術と東京大学のクライオ電子顕微鏡解析技術によって成し得たもの。今後SGLT2だけでなく同様の機構を持つトランスポーターのメカニズム理解を進め、それらがかかわる疾患の新たな創薬につながることが期待される。
 田辺三菱製薬は、これからもアカデミアをはじめ社内外の様々なパートナーとオープンイノベーションを進めることで、アンメット・メディカル・ニーズが残る疾患への創薬にチャレンジしていく。

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