CAR T細胞療法「アベクマ」 多発性骨髄腫の適応追加申請 ブリストル・マイヤーズ スクイブ

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は17日、CAR T細胞療法「アベクマ点滴静注」について、2つ以上の前治療を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する適応追加申請を行ったと発表した。
今回の承認申請は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及びダラツムマブを含む 2 から 4 レジメンの前治療歴を有する再発及び難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、アベクマの有効性及び安全性を検討する国際共同P3相KarMMa-3試験(BB2121-MM-003試験)の中間解析結果にもとづくもの。
 多発性骨髄腫は、B細胞から分化した形質細胞ががん化して骨髄腫細胞となり、主に骨髄で増殖する疾患である。
 形質細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る抗体を作る役割を示すが、形質細胞ががん化して骨髄腫細胞になれば、異物を攻撃する能力がない単クローン性免疫ブロブリン(Mタンパク)を産生し続ける。
 骨髄腫細胞やMタンパクが増えることにより、貧血を主とする造血障害、腎臓障害、溶骨製病変等の多彩な臨床症状が出現する。
 近年、多発性骨髄腫の治療法は大きく進歩しているものの、初回治療に奏効を示しても、その後再発を繰り替えし、治療を重ねるごとに悪性度が増し、最終的に難治性に進行する。主要な薬剤クラスであるプロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗 CD38 抗体による治療を受けた再発又は難治性の多発性骨髄腫患者の予後は前治療の数に関わらず不良であり、治療選択肢は限られている。
 また、近年は初回治療または初回再発時の治療に抗 CD38抗体と免疫調節薬又はプロテアソーム阻害剤との併用療法を使用する頻度も増加している。そのため、前治療歴が少ないにも関わらず、これらの薬剤に対して再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にも、高い有効性が期待される新規作用機序を有する治療薬が必要とされている。
  アベクマは、ファースト・イン・クラスのB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞免疫療法だ。
 アベクマが多発性骨髄腫細胞の表面にあるBCMAを認識し結合すると、CAR T細胞が増殖することによりサイトカインを放出し、結果としてBCMA発現細胞が融解・殺傷される。
 国内では、2022 年1月20 日に、「アベクマ 点滴静注」として製造販売承認を取得し、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤および抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫に対する適応を有している。
 海外については、米国では 2021年3月に、「免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む4つ以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者の治療」として、欧州では2021年8月に、「免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、抗CD38抗体を含む3つ以上の前治療を受け、最後の治療で病勢進行が認められた再発難治性多発性骨髄腫の成人患者の治療」として、製造販売承認を取得している。その他、カナダ、スイス、イギリス等でも製造販売承認を取得している。
 また、今回、同試験の結果にもとづいて、日本、米国、欧州において、同時適応追加申請が行われている。

◆杉田真BMS研究開発本部長のコメント
 当社では、深刻な病気を抱える日本の患者さんにいち早く新たな治療選択肢をお届けするため、開発中のほぼすべての国際共同臨床試験に参加し、グローバルで同時開発、同時申請を行っている。
 今回のアベクマの適応追加承認申請も、米国および欧州との同時申請を達成できたことを嬉しく思う。日本においても2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんに、より早期に、そして米国や欧州から遅れることなく、CAR T細胞療法という選択肢を提供できるようになることを期待している。

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