ラジカヴァ経口薬 ALS対象P3試験で点滴静注製剤と同程度の安全性・容認性確認 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は10日、ラジカヴァの経口薬「エダラボン経口懸濁剤(MT-1186)」について、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を対象としたグローバルP3試験(MT-1186-A01試験)において、24週投与までの安全性と忍容性で点滴静注製剤のラジカヴァと同程度の試験結果を得たと発表した。 田辺三菱製薬グループは、同試験結果をもって、速やかにMT-1186の承認を得るべく、各国薬事当局への対応を行っている 。
 同社開発子会社ミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカがオープンラベルで実施するMT-1186-A01試験は、米国、カナダ、欧州および日本の約50施設において、185名のALS患者(18歳以上75歳以下)を対象としたもの。ALS患者における24週および48週投与時の安全性と忍容性評価を主要目的とする。
 試験結果では、24週投与時点において、同剤を1回以上服用した185名の被験者の安全性は、エダラボン点滴静注製剤(「ラジカット注30mg」および「ラジカット点滴静注バッグ30mg」、ラジカヴァ)の安全性プロファイルとおおむね一致した。
 主な有害事象は、筋力低下(16.2%)、転倒(15.7%)、疲労(7.6%)、背部痛(7.0%)、便秘(7.0%)、頭痛(5.9%)および呼吸困難(5.4%)であった。また、治験薬と関連ありと判断された重篤な有害事象はなかった。
 同試験の被験者の中で、11名(5.9%)が有害事象により試験を中止となり、このうち2例は治験薬と関連ありと判断された。試験中止に至った主な有害事象は、呼吸不全および筋力低下で、疾患の進行に関連した事象であった。
 24週間の試験期間中に6名の死亡が報告されたが、いずれも治験薬と関連なしと判断された(呼吸不全(3名)、ALS(1名)、肺炎(1名)、自殺(1名))。
 一方、有効性については、ALS患者の障害進行の評価尺度であるALS機能評価尺度改訂版(ALSFRS-R)を用いて探索的に評価した。試験開始時、被験者の平均ALSFRS-Rスコアは40.0、24週時のALSFRS-Rスコアのベースラインからの平均変化量は−5.6(95% CI-6.5,-4.8)であり、エダラボン点滴静注製剤のALSを対象としたP3試験のエダラボン群と同程度であった。
 これら試験結果は、第32回ALS/MND国際シンポジウム(12月7~10日オンライン開催)で発表された。
 MT-1186は、2019年10月にFDAよりファストトラック指定を受けている。現在実施中のMT-1186-A03試験は、MT-1186-A01試験を完了された患者を対象とした最長96週投与の継続試験で、MT-1186-A01およびMT-1186-A03試験を合わせると、最長144週間のデータが得られる。
 エダラボンは、田辺三菱製薬が創製したフリーラジカル消去剤であり、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年4月に厚労省から承認され、国内ではラジカットの製品名で販売している。ALSの適応症(ラジカヴァ)については、2015年6月に日本、同年12月に韓国、2017年5月に米国、2018年10月にカナダ、2019年1月にスイスなど、現在8か国で承認されている。

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