小児在宅対応薬局リスト化に100薬局が手上げ 大阪府薬

乾氏

 大阪府薬剤師会は1日、定例記者会見を開催し、現時点で小児在宅対応薬局リスト化に100薬局が手上げしていることを報告した(2023年3月1日現在)。2月26日に開催された「小児在宅推進のための研修会」で行ったアンケート調査で明らかになったもの。
 「小児在宅推進のための研修会」は、薬物療法を受けている小児患者に対し、高い専門性に基づく特殊な調剤や薬学的管理を実施し、入退院時及び在宅医療において地域の医療機関等と薬学管理情報の共有を効果的に行うことを目的に開催された。
 今後は、2023年度初旬を目途に「小児在宅医療に対応できる薬局のリスト化」を整備し、対応可能な薬局にはステッカーを配布してその主旨を一般市民に告知する。
 また、乾英夫会長は、2月1日にオープンした大阪医科薬科大学病院敷地内の「アイン薬局高槻大学町店」について、「敷地内薬局は、地元の高槻市薬剤師会に入会し、大阪府薬、日薬会員になった」と報告。その上で、「高槻市薬剤師会と連携して、しっかりと地域医療に貢献してほしい」と要望した。
 「小児在宅推進のための研修会」は、2月26日、2022年度「薬局ビジョン実現に向けた薬剤師のかかりつけ機能強化事業」に伴って開催された。
 現在、大阪府下において、小児中核病院8施設、小児地域医療センター18施設が小児の専門治療を行っており、日常生活圏内での薬局の支援が望まれている。
 同研修会では、薬物療法を受けている在宅の小児患者に高い専門性に基づく特殊な調剤や薬学的管理を実施し、入退院時や在宅医療で地域の医療機関等と薬学管理情報の共有を効果的に行う医療ケアを含む演題などがプログラムされた。

堀越氏


 堀越博一常務理事は、「研修会には400名が参加した。現在のところアンケート調査では、その内100薬局が小児在宅対応薬局リスト化に手上げしていることが判明した」と報告した。
 さらに、「小児在宅の医療ケアでは、医薬品の適応外使用や、薬価承認されていても稀少疾患であったり、小用量、高薬価の薬剤が多く、無菌調製も必要となるため、長く対応していくのは大変なことである」と指摘。
 その上で、「診療報酬上の点数が付いているものの労力に見合う評価ではない。とはいえ、医療的ケアを含む研修会を3年程度継続し、小児在宅対応薬局リストも適宜追加していく」考えを強調した。大阪府薬では、会営薬局も小児在宅対応薬局となって会員薬局をバックアップしていく。
 乾氏は、「地域連携や応需薬局をしっかりと明示し、より積極的に小児在宅対応薬局のリスト化に取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

道明氏


 「アイン薬局高槻大学町店」は、1月23日に指定薬局許可が降りた。道明雅代副会長は同日開催された近畿地方社会保険医療協議会について言及。「敷地内薬局の諮問で‟反対”の意見を示した」と明言し、「掛かり付け薬剤師を養成する大学構内に敷地内薬局が存在するのはおかしい」と断言した。
 さらに、「付帯意見を提言した」ことも明きらかにした。付帯意見の内容は、次の通り。

 ◆医薬分業の観点から、敷地内薬局の設置は医療機関と地域薬局の適切な連携を阻害する恐れがあり、地域住民がかかりつけ薬局を持つことによる安心・安全な薬物療法の機会を失することになりかねない。
 ◆とりわけ、将来の医師・薬剤師を育成し地域医療・かかりつけ・医薬分業を学ぶ場でもある大学の附属病院敷地内に薬局を誘致・設置することは、当該医療機関の担う役割や地域医療に及ぼす影響が大きいことから、地域医療に困難を招かないよう指導を徹底されたい。

 大阪府薬では、昨年3月に開かれた代議員会で決議した「大阪医科薬科大学病院敷地内薬局開設反対」の‟要望書”を作成。同年4月8日に乾会長、高槻市薬会長が同大学理事長、学長と面談の上で同要望書を手渡したが、その後大学側から何の連絡もないまま突然敷地内薬局が開設されたのがこれまでの経緯である。

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