エンザルタミド P3試験で前立腺がん進行リスクを58%低減 アステラス製薬

 アステラス製薬は8日、ファイザーと共同開発中の経口アンドロゲン受容体阻害剤「エンザルタミド」について、P3相EMBARK試験においてプラセボ群と比較して非転移性ホルモン感受性前立腺がんの進行リスクを58%低減したと発表した。
 同結果は、生化学的再発(Biochemical Recurrence: BCR)のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん、または非転移性去勢感受性前立腺がん患者を対象としたP3相EMBARK試験において、3つの投与群(エンザルタミド+リュープロレリン(エンザルタミド併用群、n=355)、プラセボ+リュープロレリン(プラセボ群、n=358)、エンザルタミド単剤群(n=355))を評価した試験解析によるもの。4月29日に、2023年米国泌尿器科学会年次総会で報告された。
 主要評価項目であるエンザルタミド併用群とプラセボ群とを比較した無転移生存期間(Metastasis-Free Survival: MFS)において、病勢の進行または死亡のリスクを58%低減した(HR=0.42、 [95%信頼区間[Cl]: 0.30-0.61]、p<0.0001])。
 主な副次評価項目においても、主要評価項目と一貫した結果を示し、エンザルタミド併用群とエンザルタミド単剤群の両群で統計的に有意な改善が認められた。
 具体的には、エンザルタミド単剤群では、プラセボ群と比較して病勢進行または死亡のリスクを37%低減(HR=0.63、 [95%信頼区間[Cl]: 0.46-0.87]、 p=0.0049])した。
 また、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen: PSA)増悪までの期間および新しい抗腫瘍治療の開始までの期間については、エンザルタミド併用群、エンザルタミド単剤群いずれにおいても、統計学的に有意な改善が認められた。
 PSA増悪までの期間に関し、エンザルタミド併用群およびエンザルタミド単剤群は、プラセボ群と比較して、それぞれ93%(HR=0.07, [95%信頼区間[Cl]: 0.03-0.14]、 p<0.0001)および67%(HR=0.33、 [95%信頼区間[Cl]: 0.23-0.49]、 p<0.0001)のリスクの低減がみられた。
 新しい抗腫瘍治療の開始までの期間に関してはプラセボ群と比較して、エンザルタミド併用群で64%(HR=0.36、 [95%信頼区間[Cl]: 0.26-0.49]、 p<0.0001)、エンザルタミド単剤群で46%(HR=0.54、 [95%信頼区間[Cl]: 0.41-0.71]、 p<0.0001)、それぞれ増悪のリスクの低減がみられた。
 主な副次評価項目である全生存期間(Overall Survival:OS)においては、観察期間は十分でないが、エンザルタミド併用群で改善の傾向が認められた。引き続き被験者を経過観察し、OSの最終解析を実施する。
 最も多く見られた有害事象は、エンザルタミド併用群で疲労、ほてりおよび関節痛、エンザルタミド単剤群で疲労、女性化乳房および関節痛であり、新たな安全性シグナルは観察されておらず、既知の安全性プロファイルと一致していた。
 同試験の詳細な結果については、医学専門誌へ論文投稿する予定である。さらに、同適応症におけるエンザルタミドの2023年中の申請をサポートするため、米国FDAを含む規制当局と協議する。

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