IBD患者がより暮らしやすい社会実現目指してシミュレーションプログラム提供 武田薬品

 武田薬品は30日、炎症性腸疾患(IBD)患者の気持ちをより適切に理解することを目的としたシミュレーションプログラム「In Their Shoes(ITS)を提供していると発表した。
 IBDは、主に潰瘍性大腸炎とクローン病の総称であり、腸を中心とする消化管粘膜に炎症が生じる疾患だ。10代~20代の人に多く発症し、患者の多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送っている。
 一方で、IBDは、症状が見た目には分かりづらく、また患者がどのようなことで困っているのか周囲の人に伝わりにくい疾患である。
 ITSは、スマートフォンのアプリケーションからの指示に従ってIBD患者の日常生活を体験し、患者の気持ちをより適切に理解することを目的に開発されたシミュレーションプログラムだ。
 「In Their Shoes」 とは、英語で「その⼈と同じ立場や境遇に身を置いて考える」ことを意味する。同プログラムは、IBD 患者や患者団体の協力を得て海外で開発された、科学的根拠に基づくストーリー性のあるプログラムだ。
 武田薬品の包括的な患者ケアへの取り組みである、“Patient First Program(ペイシェント・ファースト・プログラム)”の取り組みの一つで、日本での事業を担うジャパン ファーマ ビジネス ユニットを中心に、既に360名を超える従業員が体験している。ITSの体験は、患者の日常生活上の悩みをより具体的にイメージした上での情報提供活動につながっている。
 また、同社は、医療系学生団体とともにIBDの疾患啓発イベントを2020年から毎年開催しており、その際に参加者の医療系学生にもITSを体験して貰う機会を提供している。
 患者がIBDと付き合っていくためには、身近な人々のサポートも必要であるため、今まで以上にIBDやIBD患者にとっての必要なケアへの理解を深めることを目的に、今回、IBD患者の家族13名にITSを体験して貰った。
 参加者からは、「患者さんが遠慮なく思いや悩みを伝えられるよう、今以上に周囲の理解が必要であることを実感した」や、「便意や腹痛などの症状が、想像以上に仕事や日常生活に支障を及ぼしていることを理解できた」などの声が寄せられた。
 武田薬品では、IBD患者やその家族に対し、患者の疾患の状態に合わせた情報や日々の生活に役立つ情報など、IBD患者自身が今よりもっとうまく病気と付き合っていくための情報をまとめたIBDステーション(Webサイト)やIBD患者さんのセルフマネジメントをサポートするIBDノート(アプリ)なども提供している。
 また、2月19日には、(Web)市民公開講座「潰瘍性大腸炎とクローン病 -知っておきたい最新情報-」を開催する予定である。興味のある人は、誰でも参加可能となっている。申し込みはhttps://www.ibdstation.jp/message/event/ より受け付けている。。
 武田薬品は、引き続きIBD患者の気持ちに寄り添い、IBD患者がより暮らしやすい社会の実現を目指して、患者支援団体や医療関係者との協働のもと、さまざまな活動に取り組んでいく。
 

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