悪臭問題を解決できる芳香環交換反応利用スルフィド合成法を開発  早稲田大学

 早稲田大学理工学術院の山口潤一郎教授らの研究グループは、独自に開発した金属触媒により、芳香環のスルフィド部位を異なる芳香環へと移動させるスルフィド合成法の開発に成功した。
 同合成法は、医薬品などを含む40種類以上の化合物を様々な芳香族スルフィドに変換可能とするため、悪臭問題を解決できる斬新な芳香族スルフィド合成法として期待される。
 芳香族スルフィドは、医農薬、有機材料に頻出する重要化合物である。これまで芳香族スルフィド作る場合、「強烈な悪臭を発するチオール」をスルフィド化剤として使用する手法が一般的であった。
 だが、その悪臭、毒性から、チオールの使用、保管に際しては特別な排気設備や周囲環境への配慮など細心の注意を払う必要がある。そのためチオールを用いない芳香族スルフィド合成法が求められていた。
 今回の研究では、独自に開発したニッケル触媒(Ni/dcypt)と芳香環交換反応という概念を用いて、新たな芳香族スルフィド合成法の開発に成功した。取扱いが容易な無臭の芳香族スルフィドをスルフィド化剤として使おうというユニークな発想のもとに生まれた新反応である。
 今回の研究により、医薬品などを含む40種類以上の化合物を様々な芳香族スルフィドに変換可能であることが分かっており、悪臭問題を解決できる斬新な芳香族スルフィド合成法の提供が可能となる。
 なお、同研究成果は、アメリカ化学会誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に2021年6月28日(現地時間)に掲載された。

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