レボドパとカルビドパの配合製剤 パーキンソン病治療の後期P2試験長期安全性データで好結果 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は4日、パーキンソン病治療薬候補品のレボドパとカルビドパの配合製剤(ND0612)について、後期P2相試験(BeyoND試験)において、長期にわたり安全に使用できる忍容性の高い薬剤として、同剤がパーキンソン病のアンメットメディカルニーズに応える新しい選択肢となりうる長期安全性データを得たと発表した。
 同試験は、田辺三菱製薬完全子会社のニューロダーム社(本社:イスラエル)が実施しているもの。ND0612は、レボドパとカルビドパの配合製剤を、持続投与可能な皮下投与システムと組み合わせた開発品である。薬物動態プロファイルを改善し、レボドパ治療の安定した血漿中濃度の維持により、パーキンソン病患者の運動症状の日内変動を減少させるためにデザインされた新規のアプローチだ。
 長期安全性データは現地時間4月5日に、米国神経学会年次総会(2022 American Academy of Neurology Annual Meeting)で発表される。発表内容は、同試験で長期継続投与期間に登録された、運動症状の日内変動を有するパーキンソン病患者114名の1年以上の累積安全性データ。1年間の投与を完了した被験者の95%が長期継続投与期間に移行し、レボドパとカルビドパを配合した持続皮下注製剤として初めて、1年を超える安全性データを取得した(一部の被験者は6年目の投与期間に移行されている)。
 投与後に発現した有害事象は、おおむね軽度から中等度であった。長期継続投与期間に登録後の4年以上の間で、有害事象のため投与を中止した被験者は17.5%、そのうち注入部位の反応により投与を中止した被験者は4名(3.5%)であった。
 主な有害事象は、小結節、血腫、感染、疼痛および焼痂(しょうか)などの注入部位の反応で、治験薬との因果関係を否定できない全身性の有害事象のうち、5%を超える発現が見られたのは悪心(7.0%)であった。
 パーキンソン病が進行すれば、運動症状の日内変動が出やすく、経口薬でのコントロールが難しくなるため、患者のQOLを向上するための新しい治療法が求められている。
 ND0612は、レボドパとカルビドパを液剤化し、デバイスと組み合わせて持続的に皮下投与することで、血中濃度を安定化させ、運動症状の日内変動を確実かつ持続的な緩和をめざしている。
 同試験で、ND0612が長期にわたり安全に使用できる忍容性の高い薬剤として、パーキンソン病のアンメットメディカルニーズにこたえる新しい選択肢となりうることが示唆された。
 ND0612は、現在グローバルでP3相試験を実施しており、2024年度に米国をはじめグローバルでの販売開始をめざしている。中枢神経領域を研究開発の重点領域に定める同社は、パーキンソン病に向きあうすべての人に、新しい治療の選択肢を届けるための取り組みを進めていく。

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