海外事業好調と日本での後発品影響精査完了で2023年度通期業績予想を再度上方修正 参天製薬

 参天製薬は7日、Webによる2024年3月期第2四半期決算説明会を開催し、伊藤毅社長兼CEOが「海外事業の好調な伸長に加えて、国内の後発品による影響の精査完了が主な要因となり9月20日に公表した修正予想を、本日、さらに上方修正した」と発表した。
 海外の伸長要因として、「中国、欧州」を挙げ、欧州については「2025年に売上収益616億円を掲げていたが、為替の影響や主力製品の好調な推移により、2023年度にその目標をほぼ達成できる見込みにある」と報告した。
 米州事業は、「一定効率化を行って上市していた製品を引き取ってもらい、資産を売却して合理化が進んだ」と明言。今後については、「米州は大きな市場である」と強調した上で、「これまで参入に使った製品よりもっと競争力のある製品をしっかりと生み出して、米州を収益要因に加えていく」考えを示した。
 2024年3月期第2四半期の業績は、売上収益1458億0600万円(前年同期比13.1%増)、コア営業利益315億3300万円(91.7%増)、営業利益250億9900万円(前年同期△190億2100万円)、税引前四半期利益240億7500万円(△191億0300万円)、四半期利益192億7400万円(△220億1900万円)。
 海外の伸長要因となった中国市場は、昨年度、コロナの影響で売上が伸び悩んだが、今年度はある程度の回復を見せ、製品が再び市場に浸透した。一方、欧州は、円安効果で10%、それ以外の要因で20%増加しており、「競合品との競り勝ちが主な好調要因となった」
 米州事業は、事業部門を中心に効率化が進んでおり、米国事業要員は、昨年の98人から本年3月に90人、9月末には10人まで減少。昨年度45億円であった米州の赤字は、今年度期初に11億円を見込んでいたが、5億円に縮小する見込みにある。
 伊藤氏は期待のパイプラインにも言及し、日本で今年度中に申請を予定している小児の近視進行抑制剤「STN1012700」を挙げた。小児の近視はグローバルで進行しており、人口の半分程度が近視になると予測されている。日本も同様の傾向にあり、近視治療として承認されたデバイスや治療薬はない。
 9月20日に公表した2024年3月期通期予想の上方修正は、海外事業の好調な業績と米州の効率化の前倒しなどが主な背景にあった。今回の上方修正は、好調な海外事業に加えて、日本の個別製品の後発品による影響の精査が完了したため、売上高予想の見直しによるところが大きい。
 具体的には、抗アレルギー点眼剤「アレジオン点眼液」の売上高が当初予想の220億円から303億円、網膜疾患治療剤「アイリーア」が642億円から738億円に引き上げられた。
 2024年3月期の連結業績予想は次の通り(カッコ内は9月20日公表との増減額)。
 売上収益3020億円(170億円増)、コア営業利益580億円(80億円増)、営業利益410億円(60億円増)、税引前当期利益383億円(54億円増)、当期利益295億円(45億円増)、基本的1株当たり当期利益80.64円(68.34円)。

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