グローバルブランド14製品の牽引で2025年度までに売上収益成長実現
 武田薬品ウェバー社長

ウェバー 氏

 武田薬品は11日、2025年度までに14製品の牽引で売上収益成長を実現し、2030年度までに更なる売上収益成長の可能性を有する中長期的成長に向けた体制整備が完了していると発表した。
 第40回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスで明らかにしたもの。同カンファレンスプレゼンテーションにおいて、クリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長CEOは、「グローバルブランド14製品の中期的な売上収益成長の可能性」について強調した。
 最近の米国FDAからの承認に加え、臨床段階にある多様な約40の新規候補物質から成るポートフォリオにより、今後数年間で数多くの薬事承認を取得することが見込まれ、長期的な売上成長の見通しを支えていく。
 また、同社の強靭なパイプラインを構築する手法の1つとして、 数年間にわたり研究開発のパートナーとして共に成功を納めているAdaptate Biotherapeutics社を買収するオプション権の行使についても公表された。
 同件により、前臨床候補物質や探索的なパイプラインを含め、新規抗体型γδT細胞エンゲージャー療法のプラットフォームが、武田薬品のがん免疫療法のポートフォリオに加わることになり、‟患者に人生を変えうる医薬品を届ける”という同社のコミットメントを示すことになる。
 クリストフ・ウェバー氏は、 「過去10年間で、当社はイノベーションによる急成長を実現するトップレベルのグローバル企業へと転身を遂げた」と明言した。
 さらに、「グローバルな事業基盤、期待の高いパイプライン、強靭なブランドポートフォリオならびにデータとデジタルへの投資により、治療法に変革をもたらし、患者さんの治療体験を向上させることを目指している」と訴求。
 その上で、「当社の成長戦略は明確です。売上収益ポテンシャルが高いと想定される候補物質を複数有するパイプライン、FDAより承認を取得し、2021年後半に販売を開始した製品が2つあることなどの実績で示されるように、当社は今後も引き続き意欲的なビジョンを実現していく力があるものと確信している」との考えを示した。
 武田薬品では、グローバルブランド14製品の成長により力強い業績が実現し、2021年度の実質的な売上収益成長予想+14~16%の達成に向けて順調に進捗している。
 また、中期的にはトップライン成長、競争力のある利益率、力強いキャッシュ・フローの推進に引き続き寄与する予定だ。同社は、これらグローバルブランドと同時に、EXKIVITY™ (mobocertinib)およびLIVTENCITY™ (maribavir)などの新製品の上市が、2025年度までに約5000億円(45億米ドル)の売上収益成長に寄与するものと確信している。
 売上収益の増加分は、継続的な市場浸透、発売国における市場規模の拡大、新規効能および日本や中国などの新興国を含む地理的拡大により達成する予定である。
 また、同社はEntyvio (vedolizumab)バイオシミラーの想定を見直し、データ保護期間満了のタイミングでバイオシミラーの参入を見込まなくなった。
 同社の研究開発エンジンは、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患、血漿分画製剤、ワクチンの領域において臨床段階にある約40の新規候補物質を有しており、この多様なパイプラインは、2025年以降の長期的な成長を確かなものにすることを想定している。
 2022年度末までにピボタル試験が開始される予定の新規候補物質は、PTRS(技術的および規制上の成功確率)未調整ベースで1兆円以上(約100億米ドル)、 PTRS調整後で5000億円以上(約50億米ドル)のピーク売上ポテンシャルの合計を想定している。
 これには、世界の公衆衛生の脅威であるデング熱に対して開発中のワクチンTAK-003や、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対する初めてかつ唯一、そして革新的なADMTS13酵素補充療法となりうるTAK-755、発達性/てんかん性脳症の治療薬であるsoticlestatも含まれている。
 また、細胞療法や遺伝子療法を含む開発の早期段階にある5つの新規候補物質については、今後数年間でピボタル試験のデータ読み出しが予定されており、その中にはピーク時売上収益ポテンシャルが高いと想定されるものが複数含まれる。
 武田薬品は、グローバルレベルでの変革を通じ、あらゆる財務コミットメントを実現してきた。これには、2020年度に1.2兆円(110億米ドル)の売上収益を達成したグローバルブランド14製品が牽引したトップラインの成長加速が含まれ、グローバルブランド14製品は、2021年度の実質的な売上収益成長予想+14~16%の達成に向けて順調に進捗しており、Core売上収益全体の約45%となる予定である。
 また、実質的なCore営業利益率およびフリー・キャッシュ・フローも好調に推移しており、2023年度までに純有利子負債/調整後EBITDA倍率2倍台前半という目標に向けて順調に進捗している。
 武田薬品は、最近、自己株式取得も発表しており、当社の事業戦略への自信、株主へ価値を提供していくというコミットメントを裏付けるものである。
 

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