セフィデロコルの有用性を9日からの欧州臨床微生物感染症学会議で発表  塩野義製薬

 塩野義製薬は、9日~12日に開催される欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)において、臨床上重要なカルバペネム耐性グラム陰性菌等に対するセフィデロコルのin vitro活性およびリアルワールドデータ(RWD)を含む発表を行う。
 セフィデロコルは、世界保健機関(WHO)により最優先で対処すべき菌種に指定されているカルバペネム耐性A. baumannii, P. aeruginosaおよびEnterobacteralesの全てに有効性を示す唯一の薬剤だ。
 今回の発表は、臨床上問題となっている薬剤耐性グラム陰性菌感染症に対するアンメットメディカルニーズが今なお継続しており、セフィデロコルはこれらの薬剤耐性菌に対して有効な治療薬であることを示している。主な発表の概要は、次の通り。

①治療が最も困難なカルバペネム耐性グラム陰性菌に対するセフィデロコルの広範なin vitro活性について
 The SENTRY Antimicrobial Surveillance Programの一環として、欧州および米国で集積されたグラム陰性菌に対するセフィデロコルおよび他剤のin vitroでの感受性を評価した結果、セフィデロコルは、カルバペネムや近年承認されたβ-lactam/β-lactamase阻害剤の合剤に耐性を示す株を含めて、Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter baumannii-calcoaceticus complex, Stenotrophomonas maltophilia, およびEnterobacteralesに対して幅広い活性を示した。また、セフィデロコルは、評価薬剤の中で最も高い活性を示した。

②新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との同時感染例を含む、セフィデロコルの早期アクセスに関するRWD
 Compassionate useによるセフィデロコルの治療を受けた141名に対する臨床効果を評価したところ、セフィデロコルは代替の抗菌薬に対して耐性を示すグラム陰性菌に起因する感染症に対してポジティブな効果を示した。最も高い頻度で検出された病原菌は、P. aeruginosa(50%)とA. baumannii complex(24%)であった。
 薬剤耐性グラム陰性菌感染症に対する適切な治療法がない患者に対してセフィデロコルを処方したEarly Access Programの初期データによると、セフィデロコルの治療を受けた237名のうち、37.1%はCOVID-19に同時感染していた。2020年4月1日から12月31日までのセフィデロコルに対する提供要請の高さは、カルバペネム耐性菌のような高度な薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬へのニーズの高さを示している。

③高い死亡率を示すカルバペネム耐性グラム陰性菌の有病率に関する疫学調査について
 CARBAR study(英国、フランス、スペインで実施された後ろ向き研究)によると、分離されたグラム陰性菌の8%以上がカルバペネム耐性であることが確認された。カルバペネム耐性グラム陰性菌によって引き起こされる最も多い感染症は肺炎(40.7%)であり、これらの患者で最も頻度が高い病原菌はP. aeruginosa(37%)およびEnterobacterales(36%)であった。
 患者の59%が人工呼吸器を必要とし、死亡率はすべての病原菌で44%であったことは、耐性菌に対する新規治療薬創製へのニーズの高さを示している。

タイトルとURLをコピーしました