ビレーズトリエアロスフィア COPD対象のP3相試験サブグループ解析で好結果  アストラゼネカ

 アストラゼネカは9日、3剤配合剤のビレーズトリエアロスフィア(ブデソニド、グリコピロニウム臭化物、ホルモテロールフマル)について、P3相KRONOS試験において、ビベスピエアロスフィアと比べて中等度又は重度のCOPD 増悪率を有意に抑制したと発表した。
 P3相KRONOS試験では、同試験が対象とする中等症~最重症 COPD患者(全体集団 1899例)のうち、血中好酸球数300 細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なしの患者(サブグループ解析集団948例)について、主要評価項目である 12~24週における朝のトラフ FEV1のベースラインからの変化量、その他評価項目である中等度又は重度の COPD 増悪率について、サブグループ解析を実施した。
 その結果、ビレーズトリ群は、ビベスピエアロスフィアと比較して、同程度の呼吸機能の改善効果を示した。また、ビレーズトリ群は、ビベスピ群と比較して、中等度又は重度のCOPD増悪率を有意に抑制した。
 なお、肺炎を含む有害事象の頻度は、KRONOS 試験全体集団とサブグループ解析集団では同程度である事が示された。
 同サブグループ解析は、第60回日本呼吸器学会学術講演会において昨年発表され、今回Respiratory Researchに掲載された。
 日本呼吸器学会が発刊している『COPD 診断と治療のためのガイドライン 2018』では、喘息病態合併のCOPD患者にICSを含む治療を推奨している。
 同サブグループ解析の結果により、いくつかの喘息様特徴を除いたサブグループ解析集団(血中好酸球数 300 細胞/mm3 未満、且つ、気道可逆性なし)においても、優れた有効性と全体集団と同様の安全性が示されたことから、ガイドラインで推奨されている対象に加えて、喘息様特徴を除いたCOPD患者にとっても3剤配合剤が有用である可能性が示された。
 同論文の筆頭著者で奈良県立医科大学呼吸器内科学講座教授の室繁郎氏のコメント
 気道可逆性を有することや末梢血好酸球数300細胞/mm3を超えれば喘息要素の存在を示唆し、ICSの効果が期待できる症例と想定されている。
 今回のサブグループ解析では、これら二つの特徴がない対象においても、トリプル製剤であるビレーズトリがビベスピよりも増悪抑制効果に優れている事項が示唆された。
 24週間の短期試験の事後解析、増悪が全体集団におけるその他の評価項目などの留意事項はあるものの、トリプル製剤が喘息要素の乏しい症例においても有効であることを示唆する新たなデータではないかと考えている。

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