武田薬品は15日、開発中の経口のオレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬「オベポレクストン」(TAK-861)について、P3試験においてナルコレプシータイプ1(NT1)患者に関連する日常生活機能、認知機能および睡眠関連症状を改善したと発表した。
オベポレクストンは、オレキシンシグナルの低下を回復させることで、NT1を引き起こすオレキシン欠乏に対処する。これらのデータは、すでに公表済みのP3試験結果とあわせて、疾患のさまざまな症状に対する改善を示しており、オベポレクストンがNT1における標準治療を再定義する可能性を示すものである。同試験結果は、15日、米国睡眠医学会が主催する年次学術集会SLEEP 2026で公表された。
NT1は、オレキシン欠乏によって引き起こされる疾患で、一日を通して患者の生活に影響を及ぼす。日中の過度の眠気や情動脱力発作(カタプレキシー)が代表的な症状として知られているが、それに加えて認知機能低下や夜間睡眠の分断など、多様な症状が報告されている。
P3試験FirstLight(TAK-861-3001)では、こうしたNT1のさまざまな症状に関連し、日常生活機能、認知機能および夜間睡眠に関する指標を含む複数の評価項目を用いて、オベポレクストンの有効性が検証された。
同発表では、2つのグローバルな多施設共同プラセボ対照試験であるFirstLight(TAK-861-3001;1日2回投与[2mg、1mg、プラセボ])および RadiantLight(TAK-861-3002;1日2回投与[2mg、プラセボ])から得られた副次評価項目および探索的評価項目の結果が示されした。主な結果は次の通り。
・日常生活機能:オベポレクストンは、すべての用量群において、12週時点でナルコレプシーの機能的影響評価尺度(FINI)の6つの領域すべてにわたり、プラセボと比較して日常生活機能を有意に改善した(p<0.001)。多くの患者が、公表されている標準的な水準に到達、またはそれを上回っており、オベポレクストンが日常生活を支障なく過ごすことができる状態への回復に寄与する可能性を示している。
FINIは、倦怠感、認知機能、カタプレキシー、社会活動、日常活動、日常責任など、NT1において影響が大きい領域を反映した評価尺度である。
・認知機能:注意、実行機能、記憶に関する客観的な神経心理学的検査と、患者報告アウトカムを用いて評価したところ、オベポレクストンは、プラセボと比較してNT1に関連する認知機能を改善した。FINIの認知機能領域では、すべての用量群において約70%の患者で認知機能に大きな問題は認められなかったと回答したのに対し、プラセボ群では約15%であった。
・夜間睡眠:探索的評価項目では、オベポレクストンは両試験において睡眠の質を改善した。すべての用量群を通じて、多くの患者さんで幻覚や睡眠麻痺は認められなかった。特に2mg投与群では、ベースラインと比較して夜間睡眠の乱れを有意に改善した。さらに、レム(REM)睡眠のタイミングおよびパターンは、健常者に近い状態へ変化した。
武田薬品は、同学会において、既に公表済みのP3試験結果の統合解析に加え、オベポレクストンがマイクロスリープ(微小睡眠)の軽減に及ぼす影響に関するデータ、ならびに米国におけるNT1の症状が生活全体に及ぼす影響を評価したデータなど、追加の解析結果を発表する予定だ。
◆サラ・シーク武田薬品ニューロサイエンス領域ユニットヘッド兼グローバル開発ヘッド(M.Sc., B.M., B.Ch., MRCP)のコメント
NT1は、単一の症状で定義される疾患ではない。そのため我々は、疾患が患者さんに与えるさまざまな影響に対するオベポレクストンの効果を評価する包括的なP3臨床開発プログラムを設計した。
オベポレクストンは、複数の規制当局で審査中であり、承認されれば、NT1患者さんに対し、初めてかつ唯一のオレキシン作動薬を提供できる。これは、標準治療を再定義する可能性がある。

