カボテグラビルとリルピビリンの合剤 P3試験で96週時点の良好な結果取得  塩野義製薬

 塩野義製薬は10日、グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が、長期作用型注射2剤レジメンのCabenuva(カボテグラビル、リルピビリンの合剤)のP3相試験ATLAS-2M試験について、96週時点の良好な結果を得たと発表した。同結果は、2021 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI)で公表している。
 ATLAS-2M試験は、ウイルス学的失敗歴がなく6ヵ月以上ウイルス抑制が達成されたHIV患者を対象としてCabenuvaの2ヵ月に1回(8週間隔)投与時の有効性、安全性を月1回(4週間隔)投与時と比較したもの。
 両投与群間で48週時点におけるウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≥50コピー/mL)に合致する患者の割合について非劣性を達成していたが、今回、96週時点においても非劣性が継続された。
 同臨床試験の主な結果概要は次の通り。

Ø ウイルス学的失敗基準に合致する患者の割合

ü 8週間毎投与群:2.1%(11/522)、4週間毎投与群:1.1%(6/523)

Ø ウイルス抑制効果を示した患者の割合

ü 8週間毎投与群:91.0%(475/522)、4週間毎投与群:90.2%(472/523)

Ø ウイルス学的失敗(血漿中HIV-1 RNA ≥200コピー/mL)を示した患者の割合

ü 8週間毎投与群:1.7%(9/522)、4週間毎投与群:0.4%(2/523)

ü 48~96週の間に8週間毎投与群で耐性変異ウイルスを1例検出(リルピビリン耐性)

Ø 安全性

ü 48~96週の間に両群で新たな安全性の懸念は確認されなかった。

 ATLAS-2M試験(96週)の結果より、2ヵ月に1回のCabenuvaの投与によりHIV感染患者が96週においてもウイルス抑制を維持できることが示された。この結果は、今後患者の利便性がさらに向上することで、HIV治療におけるパラダイムシフトが起こる可能性を示唆している。
 新たな治療選択肢であるCabenuvaの価値をより多くのHIV感染患者に届けられるよう、ヴィーブ社は引き続き長期の有効性および安全性の情報を収集していく予定である。
 なお、米国においてCabenuvaは、月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンとして承認されており、2ヵ月に1回投与については、ヴィーブ社によって米国FDAに医薬品承認事項変更申請が提出されている。欧州においては、Vocabria(カボテグラビル注射剤および錠剤)とRekambys(リルピビリン注射剤)の名称で月1回投与および2ヵ月に1回投与の販売承認を取得している。 なお、同件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微である。

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