大鵬薬品・アステックス社、MSDが癌領域で戦略的提携

 大鵬薬品は6日、大塚製薬子会社のアステックス社(本社:英国ケンブリッジ)およびMSDと、オンコロジー領域での戦略的提携に関する契約を締結したと発表した。
 同契約は、KRASがん遺伝子を含む複数の薬剤ターゲットに対して開発中の低分子阻害剤に特化したグローバルでの研究提携とライセンスに関する独占的なもの。
 KRASは、ヒトのがんにおいて最も高い頻度で変異がみられるがん遺伝子の1つ。膵がんのうち約90%、非小細胞肺がん(NSCLC)のうち20%で起こると推測されており、予後不良因子としての報告もある。
 大鵬薬品、アステックス社、MSDは同契約の下、各々の研究プログラムにある前臨床段階の候補化合物やそのデータ、専門的知識と技術を共有する。低分子阻害剤の候補化合物の独占的グローバルライセンスをMSDに付与する対価として、大鵬薬品とアステックス社は契約一時金5000万米ドル、さらには提携から生じる複数の化合物で前臨床試験、臨床試験、承認また販売マイルストーンの達成に付随し、合計で最大約25億米ドル、また売り上げに対する段階的なロイヤルティを受け取る権利を得る。
 MSDは、研究開発資金を提供し製品の全世界での商業化を実施する。大鵬薬品は日本における共同での商業化、そして東南アジア地域の一部でプロモーションを行う権利を保有する。
 宇津木照洋大鵬薬品常務取締役は、「当社は独自の創薬プラットフォームを活用し低分子阻害剤を創製してきた。今回の提携は、当社がこれまでKRAS遺伝子を標的とした創薬に注力してきた成果である」と明言。 その上で、「MSDとの提携を通じて、3社の研究力を融合することで、高度な専門性や研究リソースの活用が可能となり、複数のKRAS変異を標的とする創薬プログラムに関する全世界での研究、開発と商業化を大きく加速することを期待している」とコメントしている。
 一方、MSD研究開発本部責任者のRoger M. Perlmutter博士は、「大鵬薬品、アステックス社、MSDの低分子候補化合物と業界屈指のがん細胞シグナル伝達における専門性を統合し、最も有望な候補化合物を臨床研究に進めることが可能になる」と今回の戦略的提携のメリットを説明する。

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