介護認定審査会

 薬剤師が介護認定審査会で審査員を担当するにあたり、今年度始めてという方もあるので、事前に研修会を開催することになりました。
 研修会の資料は、「厚生労働省の要介護認定適正化事業」の研修会用資料の事例集から抜粋しました。実際に審査会で使う様式と同じもので、模擬の審査会を開催することといたしました。
 介護制度は要支援と要介護に分かれていて、要支援は1と2、要介護は1から5までに分けられており、支援と介護の違いは、回復の見込みの有無などの基準があります。それぞれ新規申請、更新申請、区分変更などのケースがあります。1人の申請に対し4ページ程度の報告がされています。予めコンピュータで一次判定がなされたものを審査会で判定します。一次判定が適正であるかを確認した後、二次判定で修正をします。
 介護認定審査会資料の最初の項は、介護にかかる時間を示します。5群に分かれていて運動機能や生活機能、認知機能や医療の処置等に要する時間です。その合計でおおよその介護度が決まります。各群毎に複数の項目があり、できる、見守りが必要、一部介助、全介助などのチェックが入ります。これは調査員の報告に基づきます。
 次のページには主治医の意見書があり、診断名の他に患者についての記述などがあります。運動機能や認知機能についても分類されており、認知機能については、中核症状や周辺症状についてもチェックが入ります。さらに次項は、今後必要とされるサービスの種類、予測しうる体調の変化などの記載やドクターの特記があります。
 最後に、調査員の具体的な報告があります。移動や移乗、排泄に関すること、食事の様子やもの忘れなどの具体的な内容です。それらの記述から患者の全体像、病状を想定し、この患者にどれだけの介護が必要であるかを決めていきます。委員はドクターの他に、ケアマネジャー、介護士、保健師などがおり、それぞれの立場から、意見を言います。報告書に処方内容が記載されている場合もあり、薬剤師の処方解析もかなり役に立ちます。話し合いの結果、介護度と認定有効期間を決定します。
 要支援2と要介護1のところは患者像の最もデリケートなところとなりますが、患者の理解度などを報告書から読み取ることもできるので、審査会の中ではスムーズに決定できています。
 医療・福祉関係の連携をできるとてもよい審査会であると思いますし在宅医療がよくわかりますので、まだ経験のない医療関係者の方にこの審査会をぜひお勧めしたく思います。

薬剤師 宮奥善恵

タイトルとURLをコピーしました