セルメチニブ 国内で神経線維腫症の希少疾病用医薬品指定取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカは2日、セルメチニブが希少遺伝性疾患である神経線維腫症1 型(NF1)の治療薬として、日本における希少疾病用医薬品指定を取得したと発表した。
 NF1患者の約30~50%は、神経鞘で増殖する腫瘍である叢状神経線維腫(PN)を有している。これらのPN は、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性がある。
 厚生労働省は、患者数が5万人未満で、アンメットメディカルニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して、希少疾病用医薬品指定を行っている。
 同社オンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのJosé Baselgaは、「NF1は子供たちに甚大な影響を及ぼす可能性があり、NF1 の症状である PNおよび関連する臨床的問題に対する新たな治療薬が緊急に必要とされている」と指摘。その上で、「しながら、ほとんどの国でその治療選択肢は限られており、今回の指定は、NF1に対する初の治療薬を日本の小児患者に提供できる重要な一歩となる」とコメントしている。
 米国国立がん研究所(NCI)の米国癌治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験のP1およびStratum1試験のP2おける客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2 回)した PN を有するNF1の小児患者において 66%(50 例中 33 例、部分奏効を含む)を示した。ORRは、完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出している。
 セルメチニブは、アストラゼネカとMSD が共同開発、商業化を進めている薬剤で、2020 年4 月に、症候性かつ手術不能なPNを有する 2 歳以上のNF1 小児患者に対する治療薬として米国で承認された。また、PN を有する NF1 を適応症とする承認申請が欧州医薬品庁によって受理・審査中であり、その他の地域においても承認申請を検討している。セルメチニブは本邦では未承認である。

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