オンライン医療検査・診療用プラットフォームを開発 ヘカバイオデジタルヘルス

メディカルプラットフォームイメージ図

 オンラインでの医療検査ソリューションの開発に取り組むヘカバイオデジタルヘルス(本社:東京都、HBDH)は3日、オンライン医療検査・診療用プラットフォーム「メディゲート」β版を開発し、パートナー企業の開拓・医師による検証を開始すると発表した。メディゲートは、医療機関と同精度の検査プロセスを在宅でも実施できることを目的に開発されたもので、尿検査や聴診器検査など、現在は医師の関与がないと完結できない検査を患者が在宅に居ながらにして受けることを可能にする。


 現在のオンライン診療は、ビデオ通話を活用した診療・服薬指導が中心で、医師が得られる情報が限られているのが課題である。こうした中、HBDHでは、現在のオンライン診療に「検査」を加えたソリューションの保険診療での提供を目指している。
 今回開発されたシステムは、自宅でもスマートフォンを介して聴診器検査や尿検査を行える医療機器と、プラットフォーム「メディゲート」を組み合わせて、「オンライン医療検査」に基づく診療を医師・在宅患者間で可能にするというもの。


 HBDHが日本国内の独占販売権を持つスマホ用のメディゲートアプリには、「尿検査(Healthy.io)」と「クリニック一般検査(マイホームドック)」がある。Healthy.ioは、スマートフォンのカメラ機能を用いて医療機関と同程度の尿検査を可能とし、FDA承認、CEマークを取得している。海外において、累積15万ユーザー、直近1年で3万ユーザーの販売実績を誇る。
 具体的には、キットに含まれるカップに採尿し、患者などがアプリの指示に従い試験紙を尿に浸し、専用のカラーボードに乗せてスマートフォンのカメラ機能でスキャンすることで、尿検査データを医師に送付するという手法で尿検査が実施される。
 英国では、ドラッグストア等で購入したHealthy.ioを使用してUTI(尿路感染症)の疑いを検査し、結果に基づいて薬剤師が保険医療に基づいて薬剤を処方している。日本では、現在、医療機器承認申請に向けて政府側と協議している。


 一方、4つのセンサーが内蔵されているマイホームドックは、スマートフォンアプリと連携することで、医師がリアルタイムで在宅患者の心臓・肺・お腹の聴診器機能、耳の中、口・喉、皮膚、体温、心拍、酸素濃度などの検査がリアルタイムで実施できる。米国では来月中旬にFDA承認申請を行い、日本ではPMDA申請の準備を進めている。
 HBDHは、オンライン医療検査・診療の保険適用での提供可能をゴールに2019年に設立された。国内外のヘルステック企業と協業し、現在は医療機関内部でしか行われていない検査・診療を医師の指導の下、在宅患者も同様に可能にするためのハイテク医療機器および電子プラットフォームの提供を目指している。これにより、医師の患者モニタリング改善、患者のQOL向上が期待される。
 HBDHの医療機器および電子プラットホームは、自社で持つコンテンツに加えて国内外の医療機器とのAPI連携が可能であり、様々な検査データの医師への送付、医師の所見、これに基づくオンライン診療を可能にする。
 保険適用の要件を満たす患者には専用の識別番号(メディゲート番号)を付与することで安心して保険医療が受けられる設計になっている。
 メディゲートのβ版では、患者はスマートフォンに専用アプリをインストールし、医師側はPC上のポータルサイトにログインして検査データの確認・所見の伝達、テレビ電話が可能である。
 HBDHでは、Healthy.io社(本社:イスラエル)の尿検査キット、および聴診器などの一般検査が搭載されているMyHomeDoc社(本社:イスラエル)の機器、それぞれとの連携・販売開始を2021年に予定している。加えて、導入検討中の家庭用医療機器には、「胎児心拍数モニター」、「呼吸機能検査」、「褥瘡シート」などがある。
 今後、HBDHでは、メディゲートの検証を行う医師を開拓するとともに、医療機器を開発する企業やIoT ソリューションを展開する企業との連携・構築も進めていく。製薬企業も、オンライン医療検査データの集積・分析による創薬への活用などが考えられ、重要な協業先に挙げている。

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