デジタル治療用アプリ FDAがADHD改善で承認     塩野義製薬

 塩野義製薬は24日、同社が日本と台湾における独占的開発権・販売権を取得しているデジタル治療用アプリAKL-T01(米国製品名:EndeavorRx)について,注意欠如・多動症(ADHD)におけるコンピュータを用いて評価された不注意症状の改善を適応として、世界初のゲームベースのデジタル治療として米国FDAの承認取得したと発表した。
 FDAの承認は、提携先のAkili社(米国マサチューセッツ州)が取得したもので、適応症は、8~12歳の小児の不注意優勢型または混合型ADHD。加えて、同アプリが欧州でCEマークを取得したことも明らかにした。
 AKL-T01は、小児のADHDを対象としたデジタル治療用アプリで、スマートフォンやタブレット上で操作するゲーム形式の治療法。Akili Selective Stimulus Management Engine(SSMETM)コアテクノロジーに基づいて、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されている。
 SSMETMは、患者ごとに最適化された二重課題を行うことで、大脳皮質を刺激する。これによって、患者の状態をモニタリングし、患者ごとに最適化された難易度のゲームに継続して取り組むことで、患者の状態を改善するように促す。
 今回のFDAによるAKL-T01の承認は、ADHDと診断された600人以上の小児を対象とした5つの臨床試験のデータに基づいております。その中の1つであるSTARS-ADHD試験は、T.O.V.A.(Test of Variables of Attention)の注意機能スコアであるAttention Performance Index(API)の変化量を主要評価項目とし、8歳~12歳のADHD患者におけるAKL-T01の有効性と安全性を評価することを目的に実施されたP3相試験である。
 T.O.V.A.は、米国FDAが承認した注意および抑制制御に関する客観的な評価方法で、T.O.V.A. APIのベースラインからの変化量について、AKL-T01群は、対照群(Word puzzle)に対して統計的に有意な改善を認めた(p=0.006)。また、安全性においては、AKL-T01群で問題となる有害事象は見られず、重篤な有害事象の発現も認められていない。
FDAからの承認取得により、AKL-T01は薬物療法や心理社会的療法を含めたADHDの治療プログラムの一環として、小児のADHD患者治療への貢献が期待されている。
 一方、国内においては、塩野義製薬が開発番号SDT-001として同製品の開発に取り組んでおり、6歳~17歳の小児のADHD患者を対象に、有効性と安全性を探索的に検討するP2試験を実施中。

コメント

  1. | アドハド より:

    […] 医薬通信社より […]

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