コララン錠が慢性心不全の国内効能追加取得       小野薬品

 小野薬品は20日、HCN(Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated)チャネル遮断薬のコララン錠(一般名:イバブラジン塩酸塩)について、同日、慢性心不全の効能・効果で国内製造販売承認を取得したと発表した。
 具体的な効能追加の対象は、洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が 75 回/分以上の慢性心不全(ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)。
 今回の承認は、主に国内で実施したJ-SHIFT試験と、海外で実施したSHIFT 試験の結果に基づくもの。
 J-SHIFT試験は、多施設共同無作為化二重盲検比較試験の最善の既存治療下、NYHA(New York Heart Association)心機能分類がⅡ~Ⅳ度、洞調律下での安静時心拍数が75回/分以上、左室駆出率(LVEF)が35%以下の日本人慢性心不全患者254例を対象とする。
 SHIFT 試験は、国内の J-SHIFTと同様の慢性心不全患者(洞調律下での安静時心拍数については70回/分以上)6505例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。
 心不全は、なんらかの心臓機能障害が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難、疲労や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群と定義されている。 慢性心不全は、心不全の状態が慢性的に続くものであり、国内での慢性心不全の患者数は 2020 年には 120万人に達すると推計されている。
 慢性心不全では、患者の症状コントロールや入院予防、死亡の回避を目的に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン 受容体拮抗薬、β 遮断薬、抗アルドステロン薬、利尿薬等の治療薬が使用されている。
 慢性心不全は、心臓が十分な血液量を拍出できないことを補うために心拍数が高くなる傾向にあり、それが長期にわたり継続すると心臓にさらに負担がかかる。加えて、高い心拍数は慢性心不全患者の予後に悪影響を及ぼすことが知られている。
 コララン錠は、既存の慢性心不全治療薬を服用しても心拍数が高い患者の新たな治療選択肢として期待されている。

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