「在宅・病棟・ベッドサイドで瞬時に役立つ薬剤情報」を適宜連載

 適正使用のための医薬品情報提供の一環として、山本克己氏(神戸薬科大学薬学臨床教育センター臨床特命教授、前大阪警察病院薬剤部長・医学博士)が、“在宅・病棟・ベッドサイドで瞬時に役立つ薬剤情報”を適宜連載していく。この企画は、薬剤師が処方提案するために必須の適正使用ポイントを提供して、より適正な薬物療法を実践することを目的としたもの。山本氏は、大阪大学病院薬剤部および大阪警察病院薬剤部の臨床現場で38年間培ってきた豊富な経験とエビデンスに基いた「処方提案に必須の適正使用ポイント」を紹介する。

 高齢者人口は、今後、2042年の3900万人をピークに伸び続ける見込みにある。国は、急激な高齢化社会に対応するため、在宅医療の推進を余儀なくしている。 こうした中、超高齢化社会を支えるキーパーソンの一人として期待されているのが薬剤師だ。薬剤師には、多くの疾患を持ち多剤併用する高齢者に対して、如何にして適切な薬物療法を行い、より良い処方に基づいた服薬コンプライアンスを実践するかが問われている。
 
処方提案に必須の適正使用ポイントを紹介

 新薬や医療現場で繁用される医薬品を対象とした「瞬時に役立つ薬剤情報」の連載をスタートするに当って山本氏は、「この企画には、“薬剤師に良い仕事をして欲しい”という願いが込められている」と強調し、「在宅・病棟・ベッドサイドで実績を残して、正のスパイラルに突入してほしい」と訴求する。
 臨床に関わる薬剤師が、患者の状態を踏まえて適正な薬物療法を展開するには、「併用薬への注意」、「医薬品に関連するフィジカルアセスメント」、「構造式上の注意点」、「血液脳関門通過の可否」、「授乳への影響」、「患者の状態」などがチェックポイントになる。
 瞬時に役立つ薬剤情報は、基本的に「特にチェックすべき患者情報と対応」と、「今患者に起きている状態をサイエンスするための情報」の二部構成になっている。
 前者では、「薬剤投与時にまず見てほしい患者の症状」、「注意すべき副作用やバイタルサインの確認」などを端的に指摘する。
 後者は、インタビューフォームレベルの多くの情報の中から、薬剤師が目の前の患者に起こっている症状をサイエンスするために必要な情報を山本氏の豊富な経験に基づいて選抜した項目を記載する。
 薬剤服用時患者が理解し難い症状を惹起した場合に同項目を活用すれば、薬剤師が「製品の基本情報」にある科学的エビデンスに基づいてその原因を突き止め、処方提案、敷いては適正処方に繋げることが可能だ。
 山本氏はさらに、「適切な薬物療法と服薬コンプライアンスの向上は、認知症発症率の低下や患者の健康寿命の伸長にも繋がる」と指摘した上で、「薬剤が血液脳関門を通過して中枢神経に作用するために発症すると考えられる老人の羨望にも触れたい」と明言。
 加えて「フレイルが起こっている老人に対する薬物療法の注意点」にも言及する。
 最後に、山本氏は自らの経験をもとに「製品の基本的情報にある科学的エビデンスを活用した処方提案ができれば、医師からも必要不可欠な薬剤師として認められるようになる」と断言。その上で、「これから連載していく“瞬時に役立つ薬剤情報”を、是非在宅医療で生かしてほしい」と訴えかける。
   

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