2020年上市予定の11ブロックバスター新薬候補選出 クラリベイト・アナリティクス

 クラリベイト・アナリティクスは、2020年上市予定の新薬のうち、患者数の多い疾病分野に希望をもたらすブロックバスター候補となる11医薬品についてまとめた2020年版Drugsto Watchをリリースした。
 Cortellisチームが、乳がん、リンパ腫、多発性硬化症(MS)および片頭痛の治療薬で、商業的・臨床的に成功する新薬を予想した結果、次の候補品が選出された。
 ◆Rimegepant(BHV-3000、開発企業Biohaven Pharmaceutical、片頭痛治療薬、作用機序CGRP antagonist)◆OMB-157(ofatumumab sc、同Novartis AG, of Basel、多発性硬化症、同Anti-CD20(MAb)◆Ozanimod (RPC-1063、同Celgene Corp.、多発性硬化症、同S1P1 and S1P5 receptor agonist)◆Vadadustat(同Akebia Therapeutics Inc. Mitsubishi Tanabe Pharma 、Otsuka Pharmaceutical、慢性腎臓病による貧血、同HIF-PH inhibitor)◆Valrox(同Biomarin Pharmaceutical Inc.血友病A、同FVIII gene therapy )◆Filgotinib(GLPG-0634、同Gilead Sciences Inc、リウマチ、同JAK1 selective inhibitor)◆Rybelsus(同Novo Nordisk 、2型糖尿病、同Long-acting GLP-1 analog)◆Inclisiran(同The Medicines、高コレステロール血症、同siRNA)◆Sacituzumab govitecan(同Morris Plains、Medicine Inc、転移性トリプルネガティブ乳癌、同Anti-TROP2-SN38 ADC)◆Enhertu(同Daiichi Sankyo、Astrazeneca、Cambridge、切除不能または転移性HER2陽性乳癌同Anti-HER2-exatecan ADC)◆Liso-cel(JCAR-017、同Celgene, of Summit、Bristol-Myers Squibb、大B細胞リンパ腫、同Anti-CD19 CAR T-cell therapy)
 クラリベイト・アナリティクスのCortellisチームは、独自の技術、ツールおよび手法を駆使して、2020年初頭にフェーズII試験以降に進んだ医薬品の中から、同リストに含める可能性が高い医薬品のリストを作成した。その後、社内アナリストがそれぞれの医薬品に関して個別に、年次報告書、医薬品パイプライン、臨床試験、特許、化合物、企業間取引、会議、企業発表、規制の状況などの調査を踏まえて精査・評価した。
 今年は、ライフサイエンスニュースサービスBioWorldのエディターおよびライターが、様々な疾患の状況について価格戦略分析や、上市の実現性を判断する上で最も重要な判断基準となる、2020年に市場参入するその新薬が患者ならびに支援グループが求める恩恵を提供できるか、に関する科学的裏付けを確認するなど、全ての角度から調査した。
 リストアップされた医薬品とその分析では、乳がん、多発性硬化症(MS)、片頭痛、2型糖尿病に対する医薬品を含む、慢性、進行性、さらにはしばしば衰弱性である疾患および症状の治療と治療法に焦点を当てている。リストアップされた医薬品は、ほぼすべてオーファンドラッグまたは市場への早期導入を目的としたその他の指定により、開発を加速している。リストされた医薬品の殆どが、既に競合他社が多く参入している市場または参入する態勢にある市場にも関わらず、高いレベルでの商業的成功が期待されている。
 多くの医薬品は、安全性の面、特に心臓血管リスクについて、代替療法よりも向上している点を訴求すると予想される。その他、新しい作用機序または治癒の可能性を強調するものもある。
 リストアップされた医薬品の半分以上は、生物学的製剤であり、近年成長を続け、規制当局と保険者が共にコストを抑えようとしている薬価が上昇傾向にあるセグメントである。今年リストされた血友病A治療薬のValroxおよび大細胞型B細胞リンパ腫治療薬のlisocabtagenemaraleucel遺伝子は、遺伝子治療薬と細胞治療薬であるが、どちらも費用が高いことで特に注目されている。
 承認された場合、Valroxは重度の血友病Aに対する最初の潜在的な治療アプローチと目されると予想される。Valroxの単回投与治療は、症状の根本要因である遺伝的欠陥を修正し、輸血とFVIII補充療法の必要性を排除することになり革新的である。予想通りリーダーとしての地位を獲得した場合、治療あたり250万ドルから300万ドルのコストとなり、市場における最も高価な医薬品になる可能性がある。

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