KRAS G12D標的タンパク質分解誘導剤「setidegrasib」 非小細胞肺がんの国際共同P3試験開始 アステラス製薬

 アステラス製薬は24日、開発中のKRAS G12D標的タンパク質分解誘導剤「setidegrasib」について、非小細胞肺がんに対するドセタキセルとの比較評価を行う国際共同P3試験を開始したと発表した。
 対象は、白金製剤を含む化学療法および免疫チェックポイント阻害剤による初回治療中、または治療後に病勢進行したKRAS G12D変異陽性の局所進行性(切除不能)、または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)。 患者を対象に、ドセタキセルとの比較評価を行うP3試験において、最初の患者への投与を開始したもの。
 肺がんは世界で最も多く診断されるがんであり、がんによる死亡原因の第1位である。そのうちNSCLCは全症例の約80%を占めている。NSCLC患者の約5%がKRAS G12D変異を有するとされている。
 他の遺伝子変異を有するNSCLCでは分子標的治療が進展している一方で、KRAS G12D変異陽性NSCLC患者を対象として承認された治療法は現在存在していない。そのため、初回治療後に病勢が進行した患者に対しては、現在も化学療法などの標準治療が主な治療選択肢となっている。
 setidegrasibは、疾患の原因となるKRAS G12Dタンパク質を分解・除去するよう設計された、アステラス製薬が独自に創製し開発中の新規の標的タンパク質分解誘導剤だ。変異したKRAS G12Dタンパク質を分解・除去することにより、がん細胞内のシグナル伝達を阻害し、がん細胞を死滅させる可能性がある。
 今回の治療歴のあるNSCLCを対象としたP3試験は、2026年3月にThe New England Journal of Medicine に掲載された初期臨床試験の結果に基づくもの。同試験では、KRAS G12D変異を有する進行性固形がん患者において抗腫瘍活性と認容可能な安全性プロファイルが示され、setidegrasibの作用機序を支持する結果が得られた。
 setidegrasibは、アステラス製薬の主要な開発パイプラインの一つであり、今回の治療歴のあるNSCLCを対象としたP3試験の開始は、2027年度までに5件以上のP3相/ピボタル試験を開始することを目標とするアステラス製薬の経営計画2026を支えるものである。
 また、2026年4月に開始されたKRAS G12D変異陽性転移性膵腺がん(PDAC)患者の一次治療を対象としたsetidegrasibのP3試験(NCT07409272)に続く取り組みとなる。
 さらに、setidegrasibおよびKRAS G12Dが関与する疾患生物学への理解を深めるため、アステラス製薬は2026年9月25日から28日に開催されるAACR Conference on Pancreatic Cancerにおいて、KRAS G12D変異陽性PDAC患者を対象としたsetidegrasibのP1試験から得られた応答・耐性メカニズムに関する解析結果を発表する。
 これらの解析により、有効性や耐性のメカニズム、膵腺がんにおける併用療法戦略に関するさらなる知見が得られる見込みである。

◆谷口忠明アステラス製薬の研究開発担当CRDO(Chief Research & Development Officer)のコメント
 NSCLCを対象としたP3相試験の開始は、過去6カ月で2件目となるsetidegrasibのP3試験であり、本剤の臨床開発が着実に進展していることを示している。
 本試験を通じて、疾患の原因となるKRAS G12Dタンパク質を分解するというsetidegrasibの新しいアプローチが、KRAS G12D変異を有するNSCLC患者さんのアンメットメディカルニーズにどのように応え得るのかを明らかにしていきたい。

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