大塚製薬は24日、注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「SIMTRIYO」(一般名:セセンタナファジン)について、P3b試験の追加解析で好結果を得たと発表した。
不安症を併発する成人ADHD患者において、ADHD症状、不安症状に加え、実行機能障害や情動調節不全を含む幅広い関連症状の一貫した改善が確認されたもの。
これらの試験結果は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されたPsych Congress 2026で発表された。。同結果は、本年6月に発表したトップライン結果の追加解析によるもので、不安症を併発する成人ADHD患者という臨床的に複雑な患者集団におけるセンタナファジンの臨床プロファイルについて、これまでで最も包括的な評価を示すものである。
評価項目には、ADHD の中核症状および不安症状に加え、実行機能、情動
調節不全、ならびに医師および患者による全般評価が含まれる。(P3b試験: 実臨床に近いデータの収集・補完を目的として承認申請前後に実施される臨床試験)
同P 3b試験は、ADHD に加え全般不安症(GAD)および/または社交不安症(SAD)を併発する18~65 歳の成人患者315例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。
患者はセンタナファジン群とプラセボ群に割り付けられ、8週間にわたり投与を受けた。その結果、主要評価項目である投与8週時点の「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」総スコアのベースラインからの変化量において、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました[最小二乗平均値変化量: -18.48 vs -12.62、群間差 -5.87; p<0.0001]。 併発する不安症状についても、主要副次評価項目である「ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)」総スコアのベースライ
ンからの変化量において、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められま
した[最小二乗平均値変化量: -12.55 vs プラセボ群 -10.63、群間差 -1.92; p=0.0244]。
事前規定された3つの追加解析による 実行機能、情動調節、医師・患者による全般印象評価は、次の通り。
1) 自己記入式症状評価尺度の拡張版であるASRS-31において、センタナファジン群は8週時点で、ADHDの中核症状に加え、日常生活機能に影響を及ぼす実行機能障害および情動調節不全といった関連症状においてもプラセボ群と比較して大きな改善を示した。
8 週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
・ ASRS-18総スコア
[-23.10 vs -15.80、群間差 -7.26; p=0.0002]
・ 多動性・衝動性サブスケール [-10.90 vs -7.49、群間差 -3.42; p=0.0009]
・ 不注意サブスケール
[-12.20 vs -8.36、群間差 -3.8; p=0.0002]
・ 実行機能障害サブスケール [-10.10 vs -7.22、群間差 -2.89; p<0.0048]
・ 情動調節不全サブスケール [ -4.00 vs -3.04、群間差 -0.95; p<0.0484]
2) 成人の実行機能を評価する BRIEF-A の総合スコアである全般的実行機能総合指数 GEC において、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示した。改善は投与 1 週時点から認められた。日常生活における行動や情動の自己管理能力を反映する行動調整指数 BRI においても同様の改善が認められた。
8週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
・ GEC [-17.73 vs -13.46、群間差 -4.3; p=0.0126]
・ BRI [-14.27 vs -10.20、群間差 -4.1; p=0.0086]
3) ADHDおよび不安症状について、医師による臨床全般印象評価(CGI)ならびに患者による全般印象評価(PGI)において、センタナファジン群はプラセボ群と比較してより大きな改善を示した。
これらの結果は、担当医師および患者自身の双方が、臨床的に意義のある改善を認識していたことを示している。
8 週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
・ ADHDに対するCGI-S [-1.51 vs -1.00、群間差 -0.51; p=0.0002]
・ ADHDに対するPGI-S [-1.80 vs -1.30、群間差 -0.50; p=0.0033]
・ 不安症状に対するCGI-S [-1.51 vs -1.22、群間差 -0.29; p=0.0261]
・ 不安症状に対するPGI-S [-1.65 vs -1.28、群間差 -0.38; p=0.0267]
一方、ADHD と不安症を併発する患者集団におけるセンタナファジンの安全性と忍容性プロファイルは、これまでに報告されているものと一貫していた。センタナファジン群で発現率が 5%以上で、プラセボ群より多く認められた主な有害事象は、悪心(17.2% vs 5.7%)、食欲減退(13.4% vs 3.2%)、下痢(10.2% vs 3.2%)であった。
◆Corey Hébertルイジアナ州立大学健康科学センターおよびチューレーン大学医療センター准教授のコメント
ADHD と不安症を併発する成人患者さんは、自身の疾患を単一の症状として捉えているわけではない。注意力の問題、不安、物事を整理することの難しさ、情動の不安定さなど、複数の課題を同時に抱えている。今回の結果で注目すべき点は、医師による評価、患者さん自身による評価、あるいは日常生活における実行機能の評価などの観点から本患者集団を評価しても、一貫して同様の結果
が得られたことである。
このような一貫性は、新たな治療選択肢が実臨床において患者さんの生活の改善につながる可能性を判断する上で重要な要素である。

